海外情勢

運用大手が“脆弱国”欧州債に強気の投資 7500億ユーロ復興基金を信頼

 新型コロナウイルスの感染拡大や債務問題、イタリアの財政難といった災難があっても、世界の大手運用会社による欧州中心部での取引に歯止めをかけるには至っていない。

 米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やアクサ・インベストメント・マネジャーズなどの大手運用会社は、利回りが過去最低付近にあるにもかかわらず、欧州で最も弱い国々の債券価格上昇に期待している。欧州で最初に新型コロナ危機の中心となったイタリアでは、債券価格はロックダウン(都市封鎖)前の水準に上昇し、10年債利回りは約1%の水準だ。

 だが、その利回りで十分かもしれない。投資収益の確保に苦労する投資家には欧州資産を買う十分な理由がある。政治指導者らが域内の大規模な景気刺激策を支持している上、マイナス利回りの債券が約16兆ドル(約1700兆円)に上る環境では、多少の金利でもないよりはましだからだ。

 PIMCOの欧州国債の信用調査責任者、ニコラ・マイ氏は「国のバランスシートを守る金融アンカーへの信頼がある」と述べ、同社がイタリアとスペインの債券のポジションを「ややオーバーウエート」にしていると説明。通常5年から10年の間の年限を指す「イールドカーブのベリーは投資価値がみられる部分だ」と語った。

 ただ、欧州周辺国の債券の購入にはリスクが伴う。反エスタブリッシュメント(既成勢力)政党「五つ星運動」はコンテ首相率いる連立政権にとって最大のパートナーであり、極端な意見を持つポピュリスト政党が最終的に勢力を伸ばす可能性もあるとマイ氏は指摘。そうした前例もあり、2018年には五つ星運動と、マッテオ・サルビーニ氏率いる「同盟」の連立政権が誕生したことを受け、スプレッドが急拡大し、10年債利回りは3.6%に達した。

 そうした中で欧州債への強気論を支えるのは、欧州連合(EU)による7500億ユーロ(約94兆円)規模の復興基金だ。投資家は同基金を、欧州最強の国々が域内で最も弱い国々を救うためあらゆる手段を行使する保証と解釈している。イタリアとドイツの利回り格差(スプレッド)は、3月に付けた直近のピークから1.5%余り縮小した。

 アクサ・インベストメントのアレッサンドロ・テントリ最高投資責任者は「投資家は“X年後”にはEUが真の財政・金融・政治同盟のようになると期待している。それはリスク資産には極めてポジティブな要素だ」と指摘した。同社は6月にイタリア債への投資を増やしており、10年債利回りが0.75%に低下し得ると予想しているという。(ブルームバーグ Olivia Konotey-Ahulu、John Ainger)

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