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中小の知財・技術保護へ指針、今秋にも提示 大企業の不当取得防止

 政府が、中小企業の知的財産や技術を保護するための指針を今秋にも提示することが13日までに分かった。取引先の大企業が中小の知財を不当に取得して利用するのを防ぐのが狙い。契約で不利にならないよう弁護士や弁理士が知財や技術を適正に評価することを柱とする支援策を、2021年度予算案の概算要求に盛り込む考えだ。

 小説「下町ロケット」に象徴される技術力や開発力の高い中小企業との取引に動く大企業が増えたことが背景にある。ベンチャーを含めた幅広い中小と大企業それぞれに対し、公正な取引に向けた環境整備と対等な条件での協業を促す。

 中小企業庁は17年1月から今年3月までの約3年間をかけて各地の中小企業に聞き取りを実施し、大企業との1万2000件を超す取引を調査した。

 大企業が「立ち会い」と称して工場を見学した際にノウハウを盗用された印刷業の事例や、大手自動車メーカーと画像認識技術を共同開発した際に無断で権利を取得され、自動車以外の分野に利用しようとされた事例など、多くの問題が見つかった。

 だが、企業との取引で立場の弱い中小企業は、取引を止められるのではないかとの懸念から、こうした不正利用を「断りづらくなっている」(中企庁の担当者)。調査を受けて中企庁は7月に知財取引に関する検討会を設置。共同研究などで大企業だけが権利を保有できる一方的な契約が多いと判断した。

 指針には、知財の観点から中小企業の経営を手助けする専門家が不足していることや、中小が知財保護の重要性を認識していないことなど課題の解消に向けた具体策を盛り込む。弁護士などを活用しやすくする支援策をつくり、予算面でも後押しする。

 知財分野の中小支援では公正取引委員会も、創業して間もない「スタートアップ」と呼ばれる新興企業を保護するため、経済産業省と共同で独禁法の考え方を示す指針づくりを進めている。

【用語解説】知的財産

 発明やデザイン、音楽など人が新たに生み出した無形の財産。営業秘密も含まれる。考案した人が一定期間、独占的に使用できるよう、知的財産権として法律で保護し模倣を防ぐ。新しい発明を守る特許権、自分が提供する商品やサービスを他のものと区別するための商標権は特許庁が所管。文芸や美術に関する著作権は文化庁が担う。植物の新しい品種を育成した人に与えられる育成者権もある。

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