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MMT論者のツケはだれが払うのか 「日銀頼みの国の大借金」円暴落の危険性 (1/3ページ)

 日本政府は年70兆円の収入しかないのに、160兆円の予算を組んだ。差額の90兆円は借金だ。このままで大丈夫なのだろうか。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「国債を発行して、政府に積極的な財政出動を求めるMMT(現代貨幣理論)が幅を利かせているが、トンデモ理論だ。円暴落・ハイパーインフレというシナリオがあり得る」という。

 コロナ禍でお湯の熱さに気づいた「ゆでガエル」

 この1カ月強の間に、日本経済新聞電子版、週刊朝日、週刊現代などが「預金封鎖・新券発行」のリスクを取り上げた。コロナ対策の結果、2020年度の「税収+税外収入」が70兆円(予算段階)なのに160兆円もの歳出で、90兆円もの借金が生じるのだから、心配する人が出てきても当然だろう。

 しかしコロナ禍で「預金封鎖・新券発行」のリスクが生じたわけではない。コロナ騒動で借金の深刻さに、皆が気づいただけだ。30年間、毎年巨額の借金を積み増し、国の累積債務残高はすでに1114兆円に達した。しかし、幸い何も起きなかった。私たちの生活には影響は出ていない。

 そのせいか、皆が「ゆでガエル」状態になっていたのに、コロナ禍で、湯の熱さに気がついたのだ。

 7月22日の日経新聞によると「20年の一般政府の債務残高はGDP比で268%まで上昇する見込み」だそうだ。ハイパーインフレで「預金封鎖&新券発行」を行わざるを得なかった第2次世界大戦直後の数値よりひどい。

 日経新聞のいうように「米国の141%、ユーロ圏の105%と比べ突出して厳しい」のだ。GDPと税収はほぼ比例して増える。したがって「対GDP比の財政赤字が世界最悪」とは、日本は「税金で借金を返す」のが世界で一番難しい、「終戦直後より難しい」ということになる。巷で預金封鎖の懸念が出てきても不思議はない。

 「当面の平穏」で蔓延する財政楽観論

 2010年代初期には多少なりともあった財政への危機感が、昨今は無くなってしまったのは、2013年からの異次元緩和で危機が先送りになり、長期金利が低位安定したがゆえに「当面の平穏」が保たれたことが大きい。

 さらには、「当面の平穏」時に事態が少しも改善されず、ますます悪化していったのは、「財政は大丈夫だ」との「楽観論」が世で幅を利かせたせいだと思う。そのせいでマスコミ、政治家が財政再建に努力を全くしてこなかった。この罪は大きい。

 太平洋戦争末期、「日本は神国だ。負けるはずはない」の楽観論で終戦が遅れ、多くの犠牲者を出したのと同じだ。楽観論がきちんと世間で、否定されていれば、こんな「インパール作戦」(※1)のようなことは起きなかったと思う。

 私は、この機に至っては、ハイパーインフレが起こり、その鎮静策として「日銀をつぶし新たな新中央銀行を設立する」しか解決策はないと思っている。日銀破綻は今の円紙幣が紙くずになることを意味し、国民には地獄である。

 危機を助長した奇妙奇天烈なMMT(現代貨幣理論)

 この見解に対し、よく「フジマキは過激だ」と非難されるが、「日銀がやっていることが余りに過激」なので当然の帰着として「過激な結論」となるのだ。それが30年近くマーケットの最前線で戦ってきた実務家フジマキの見解だ。

 その過激な事態が起きても、財政楽観論者や政府・日銀はコロナ禍のせいにして責任逃れをするだろう。それでは、将来何十年かして、又、同じ間違いを起こしてしまう。これから起こるであろう過激な事態は「財政赤字が極大化し、その危機を異次元緩和で先に飛ばした結果」起こるのだ。

 危機の先送りの結果、日銀がメタボ(=バランスシートの拡大。縮小して健康体に戻る手段を喪失)になり、財務内容が極めて劣化したことで起きる事実をきちんと分析、記録しておかねばならない。

 コロナはきっかけにすぎない。MMT(Modern Monetary Theory・現代貨幣理論)をはじめとする奇妙奇天烈な楽観論が、この危機を助長したのである。

 MMTは「トンデモ理論」だ

 将来、同じ間違いを二度と起こさせないために、楽観論がいかに「トンデモ理論」かを今、ここで論じておこう。楽観論の最たるものの一つが、MMTというおこがましい名前をつけた「ブードゥー経済学」(※2)だ。

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