海外情勢

徴用工問題で日本と対話呼びかけ 韓国大統領が解放記念日で演説 

 【ソウル=名村隆寛】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、日本の朝鮮半島統治からの解放75年に当たる「光復節」の記念式典で演説し、いわゆる徴用工問題に言及。問題解決に向け「韓国政府はいつでも日本政府と向き合う準備ができている」と述べ、日本に対話を呼びかけた。

 文氏は、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた2018年の判決を「最高の法的権威と執行力を持つ」とし、「韓国政府は司法の判決を尊重し、被害者らが同意できる円満な解決法を日本政府と協議してきており、今も協議の門を開いている」と指摘した。その上で、「われわれは一個人(元徴用工)の尊厳を守ることが、決して国の損害にならないという事実を確認することだろう」と強調した。

 さらに、「三権分立に基づく民主主義、人類普遍の価値と国際法の原則を守っていくために、日本とともに努力する。一人の人権を尊重する日本と韓国、共同の努力が両国民間の友好と未来協力の懸け橋となることを信じている」と訴えた。

 日本政府が昨年7月にとった韓国への輸出管理厳格化の措置については「日本の輸出規制という危機も国民とともに打ち勝った」と自賛しつつも、日本に対する直接的な批判はしなかった。

 北朝鮮に対しては、新型コロナウイルスや水害での連携を呼び掛け、「南北協力こそ核や軍事力の依存から抜け出せる最高の安保政策だ」と述べた。

 文氏の演説は、新型コロナウイルス感染や大規模な水害、国民生活をはじめとした経済問題など、韓国が現在直面する懸案が多くを占めた。感染問題にからみ「医療陣とボランティア、国民と企業が努力を結集しコロナを克服する力となり、全世界が求める模範となった」と強調するなど、国民を鼓舞し、困難克服に協力を求める内容だった。

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