海外情勢

アイフォーンが高価な“電子ごみ”に? 中国で不要論、ウィーチャット米禁止令

 米アップルは何年もかけて中国を440億ドル(約4兆7000億円)規模の成長牽引(けんいん)役に育ててきた。しかし、トランプ米大統領が、その全てに疑問を投げ掛ける行動を取った。

 トランプ氏が通信アプリ「微信(ウェイシン、英語名WeChat=ウィーチャット)」が関わる取引を米企業に禁止する大統領令を発令したことを受け、中国の「iPhone(アイフォーン)」愛好者は同端末の利用継続について考え直している。ウィーチャットは中国の日常生活に必要不可欠となっているスーパーアプリだ。

 好調アップルに逆風

 約5週間後に発効する予定の米大統領令は、アイフォーンを高価な「電子ごみ」に変える恐れがあると、香港在住のケニー・オウさんは話す。オウさんはウィーチャットを自身の携帯端末で最も重要なソフトウエアの一つだと考えている。

 ウィーチャットを運営する中国IT大手「騰訊控股(テンセント)」の幹部は12日の決算発表後の電話会議で、大統領令は米国内のウィーチャットのみに適用され、中国国内版には影響しないはずだと強調した。

 ただ、幹部ら自身もさらに明確な説明を求めているところだと付け加えており、トランプ氏の包括的な表現は、大統領令がアップルになお問題をもたらしかねないことを意味する。

 アップルは4~6月期に中国市場で好調だった。中国は同社にとって最も重要な海外市場だが、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国のアンドロイド端末メーカーとの競争激化に直面している。アップルがウィーチャットを提供できず、米中貿易摩擦が引き続き悪化した場合、「iPhone SE」など低価格端末で新規購入者を開拓したりユーザーを呼び戻したりする同社の戦略に支障が出る可能性がある。

 択一で95%「手放す」

 アップルが世界のアップストアからウィーチャット削除を余儀なくされた場合、アイフォーンの年間出荷は25~30%減少すると天風国際証券のアナリスト、郭明●氏は指摘する。同氏によると、「AirPods(エアポッド)」や「iPad(アイパッド)」、「アップルウオッチ」や「Mac(マック)」など他のハードウエアも15~25%減少する見通しだという。

 中国版ツイッターの微博(ウェイボ)で消費者にウィーチャットとアイフォーンのどちらを選ぶか質問した調査では、全体の約95%がアイフォーンの方を手放すと回答。同調査にはこれまで120万人余りが参加している。

 米大統領令は「多くのユーザーにアップルから他のブランドへの切り替えを余儀なくさせるだろう。ウィーチャットはわれわれにとって本当に重要だからだ」と香港のフィンテック業界で働く西安出身のスカイ・ディン氏は話す。「中国の私の家族は皆ウィーチャットに慣れており、全てのやり取りをウィーチャットで行っている」と述べた。(ブルームバーグ Felix Tam、Shiyin Chen)

●=金へんに棋のつくり

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