海外情勢

トルコが黒海でガス田発見 領有権争いで周辺国との対立再燃も

 トルコが黒海でエネルギー資源を発見したことが19日、関係者の話で分かった。天然ガスの可能性が高いとみられるが、発見したエネルギー資源の規模や地層の深さ、抽出の難易度など詳細は明らかではない。地中海ではエネルギー資源をめぐり各国が領有権を争っており、トルコと欧州連合(EU)との対立が再燃する兆しをみせている。

 トルコリラ上昇

 エルドアン大統領は「トルコの新時代を切り開くことになりそうな良いニュースを21日に発表する」と表明。大統領は地中海でもエネルギー資源探査を目指す考えを示している。

 黒海での資源探査について、ドンメズ・エネルギー天然資源相は先月、黒海沿岸の都市エレーリの沖合にある「トゥナ1」鉱区で掘削船ファティが海底資源探査を開始したとしていた。

 エネルギー資源発見の報道でトルコリラは対ドルで上昇。エルドアン大統領の発言を好感してイスタンブール100種指数が値を上げた。

 ブルーベイ・アセット・マネジメントのストラテジスト、ティモシー・アッシュ氏は「黒海でガス田が発見されたことはある。エネルギー輸入額が年350億~500億ドル(約3兆7000億~5兆3000億円)であることを考えると、形勢を一変させるためにトルコには何か大きなものが必要だ」と指摘する。

 トルコの沖合約150キロにあるトゥナ1は、ブルガリア、ルーマニアとの海上境界線に近く、8年前にオーストリア石油大手OMVのルーマニア子会社OMVペトロムと米石油大手エクソンモービルが黒海で数十年ぶりの規模となるガス貯留層を発見したネプチューン油田鉱区からそう遠くない場所にあたる。トルコ海軍のウェブサイトによると、掘削船ファティは7月中旬頃からトゥナ1地点で掘削作業を行っている。

 EU、緊張高まり懸念

 ルーマニアには浅水深でのガス開発プロジェクトはあるが、8年前にOMVペトロムが発見した大規模な大水深におけるガス貯留層の資源開発にはまだ取り組んでいない。米投資会社カーライルグループが支援する企業も2021年の発見を目標にルーマニア沖でガス貯留層の探査を行っている。ロシア国営のエネルギー大手ロスネフチは黒海のロシア海域で探査を行ったが、具体的な成果は出ていない。

 ドイツのコンサルティング会社メルケル・エナジーのマネジングディレクター、クリストフ・メルケル氏は「トルコが天然ガスの輸出を決めれば、ブルガリアやウクライナ、ギリシャは購入に高い関心を寄せる国の一つになるかもしれない。資源の規模によるが、少なくとも、ロシア・トルコ間の天然ガス輸送パイプライン『トルコストリーム』の一部が稼働しない状態になるだろう」と話す。

 トルコは東地中海でも資源探査を積極化しており、ギリシャやキプロスと領有権争いを繰り広げている。地中海海域で積極的に海底資源探査を行うトルコを牽制(けんせい)するためにフランスは東地中海での軍事プレゼンスを一時的に強化し、ドイツのメルケル首相は19日、EUは同海域での緊張の高まりを懸念していると語った。

 EUの指導者らは東地中海海域の状況を話し合うために9月に緊急会合を計画しており、緊張緩和の必要性を強調している。19日に行われたビデオ会議で加盟27カ国首脳らは、ギリシャ、キプロスとの完全な連帯を表明。以前下した違法な掘削活動に対する決定を再確認した。(ブルームバーグ Cagan Koc、Selcan Hacaoglu)

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