海外情勢

大統領選の資金集め トランプ氏が圧倒もバイデン氏に勢い

 【ワシントン=塩原永久】11月実施の米大統領選の選挙資金集めでは、共和党のトランプ米大統領の陣営が強力な資金基盤を築き、民主党候補のバイデン前副大統領の陣営を引き離している。だが、バイデン氏も献金獲得の勢いを増し、8月の1カ月では大統領選で集めた献金として史上最多を更新した。選挙戦の原資獲得をめぐる競争も激化している。

 米公共ラジオ(NPR)の集計によると、8月下旬までに集めた選挙資金の総計は、トランプ氏の陣営が、共和党全国委員会や関連資金団体を合わせて12億1千万ドル(約1280億円)。対するバイデン氏の陣営と民主党側は7億ドル弱にとどまっていた。

 大統領選ではメディアへの露出をはじめ、現職候補が優位な立場にあり、集金力でも地力の差を見せつけた形だ。

 ただ、選挙戦終盤に差し掛かり、バイデン氏も献金を大きく伸ばしている。陣営は2日、8月に集めた政治献金が計3億6450万ドルだったと発表。米メディアによると、1カ月の献金額としては、民主党のオバマ前大統領が2008年9月に記録した1億9300万ドルの記録を塗り替えた。

 バイデン氏は声明で「大部分はオンライン経由の草の根献金だった」とした。

 同氏は8月、副大統領候補に黒人女性のハリス上院議員を選ぶなど話題を集めた。8月後半の党全国大会期間中の4日間の献金額は7千万ドルとトランプ氏の7600万ドルに迫った。

 16年の大統領選でトランプ氏が投じた選挙資金は民主党のクリントン元国務長官より大幅に少なかったとされ、候補者の資金基盤がそのまま選挙結果に直結するわけではない。

 ただ、豊富な資金があれば接戦州に機動的に運動員を投入したり、政治広告を集中的に流したりすることも可能になる。トランプ陣営の関連団体は今後、中西部の「ラストベルト(さびついた工業地帯)」をはじめとする選挙戦を左右する重要州で、トランプ氏の経済手腕をアピールするテレビCMなどの広告を大規模に展開する方針だという。

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