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コロナで状況一変、大学スポーツも手探り状態…競技離れの懸念も

 スポーツの秋。大学スポーツも秋の公式戦のシーズンを迎えている。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で、状況が一変した。強豪の天理大でクラスター(感染者集団)が発生したラグビーの関西大学リーグは10月10日の開幕予定を、中止も視野に検討。7月末まで開催の道を模索しながら春季リーグを実施できなかった関西学生野球連盟は、5日から秋季リーグをスタートしたが、大会方式を大幅に変更せざるを得なかった。「プロを目指す学生もいる。公式戦が行われないと、卒業後の進路にも影響が出る」。ある大学の監督はそう漏らす。関西の大学スポーツの現状をまとめた。

 故障が一番怖い

 多くのJリーガーを輩出してきた阪南大サッカー部の須佐徹太郎監督はパソコンと格闘する日々が続いている。オンライン会議システムを使って約150人いる部員に練習プログラムを与え、指示を出す。学内でクラスターが発生し、24日まで学生のキャンパス内への立ち入りや課外活動への参加、運動施設の利用が禁止されているからだ。

 感染抑止の大切さは理解しているが、部員の状態を考えると、一刻も早い禁止措置の解除が必要だと感じている。須佐監督は「これだけグラウンドで練習できないと、体力や技術が元に戻るのに随分時間がかかる。オンラインには限度がある」と嘆く。

 関西学生サッカー連盟は12日から後期リーグを開始。阪南大が所属する1部は12チームで構成している。同連盟は阪南大の活動制限に配慮し、9月中に予定されている阪南大の3試合を11月以降の予備日で調整する特例を設けた。

 「部員からは『試合がしたくて仕方がない』といった声が出ている。ただ、不十分な状態で試合に出ると、故障が一番怖い」と須佐監督。連盟の担当者は「万が一のことが起こらないようにリスク管理を徹底しながら、リーグを開催したい」と強調した。

 競技離れを懸念

 身体的な接触が激しく、感染リスクが高いラグビーやアメリカンフットボールは、より慎重な対応が求められている。

 関西ラグビー協会は7月の理事会で、開幕後にコロナ感染などで試合を棄権する大学が出た場合は、その時点でリーグ自体を中止する指針を定めた。しかし、開幕前にリーグ4連覇中の天理大でクラスターが発生。さらに、大学ごとに定められた課外活動の停止や制限などの措置により、複数の大学が開幕に臨める見通しが立っておらず、リーグ成立が厳しい状況となっている。協会の担当者は「まだ中止と決まったわけではない。試合ができるかを最後まで模索し続けたい」とあくまで開催の道を探る姿勢を示した。

 一方、関西学生アメリカンフットボール連盟は秋の公式戦を従来の総当たりのリーグ戦ではなく、8校によるトーナメント方式で実施すると発表した。「密」を避けるため、フィールドに立てる選手の上限を60人に制限し、残りの部員は観客席などで待機。ヘルメットにマウスシールドとアイシールドの装着を義務付けるなどの細かな感染対策も講じた。

 ただ、既に3、4部の計6大学が部員数が確保できないなどの理由で出場辞退を表明。連盟の担当者は「コロナの影響で競技人口が減る可能性がある。競技離れが加速しないよう、何とか公式戦を開催したい」と危機感を口にした。

 貴重なアピールの場

 秋の公式戦は、スポーツに打ち込んできた部員たちにとっては、貴重なアピールの場でもある。多くのプロ野球選手が誕生してきた関西学生野球連盟は、昨秋の明治神宮大会で関西大が準優勝するなど、全国トップクラスの実力を誇る。ドラフト候補の有力選手もおり、春季リーグに続いて秋季も中止となれば、影響は大きかった。

 5日に始まった秋季リーグでは、従来の2戦先勝方式の勝ち点制から、2回戦総当たりの勝率制に変更。原則無観客で行われている。戦い方も変わり、「より1アウトの重みが出てくる」と関西大の早瀬万豊(かずとよ)監督。活動休止期間の長かった京都大の青木孝守監督は「投手は小刻みにつないでいく」と話した。

 ある大学の監督はこう訴える。「どの競技も対策を講じているが、公式戦で感染者が出ると大変。ただ秋も中止だと、1年で一度も公式戦がないまま卒業する部員も出かねない」。秋の公式戦が無事終了できるか。感染の状況を注意深く見守っていく。(岡野祐己、宇山友明)

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