海外情勢

米反発「不正にWTO無策」 対中関税、違反裁定も米政策は継続

 世界貿易機関(WTO)は15日、米国が中国製品に課している関税は国際ルール違反との裁定を下し、トランプ政権が対中貿易戦争のよりどころとしてきた主張を退けた。ただ、同政権に「米国第一」の貿易政策を断念させるには至らず、現在の貿易環境が変わることもほぼなさそうだ。

 WTOの通商専門家3人による紛争処理小委員会(パネル)は、2018年に米国が中国製品を対象に課した関税は国際的な規則に違反しているとの判断を示した。パネルは報告書で、「関税措置が暫定的に正当化されることを立証する責任を米国は果たさなかった」と結論付けた。米政府は60日以内に上訴することができる。

 ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は声明で、「中国による知的財産窃盗に関して米国が提出した広範な証拠にパネルは異議を唱えなかったものの、その決定は、このような不正行為に対する改善措置をWTOが何も取らないことを示す」と反発。また今回の裁定は米中の第1段階貿易合意には影響を与えないとも付け加えた。

 一方、中国商務省は「専門家グループの客観的かつ公正な決定を受け入れる」と声明を通じて表明。「米国側が専門家グループの決定を全面的に尊重することを中国は望む」と述べた。

 今回の裁定で中国は表面的には勝利を手にした形だが、実際にはほとんど意味を持たない。WTOの上級委員会の委員指名が米国の反対で滞り、紛争解決システムが事実上機能不全に陥っているためだ。

 ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のシニアフェロー、チャド・ボウン氏は、紛争解決機能がないことを理由にトランプ政権はWTOの決定を無効と主張できると指摘。「この紛争に勝者はいない。米国、中国、そして特にWTOの全員が敗者だ」と述べた。

 トランプ大統領はこの日、WTOの決定を受けて記者団に対し、「中国に好き勝手な振る舞いをさせているWTOについては何かしなくてはならないだろう」と語った。(ブルームバーグ Bryce Baschuk)

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