国内

菅首相、急いだ外交スタート 国際情勢が緊迫

 菅義偉(すが・よしひで)首相は20日夜、オーストラリアのモリソン首相、トランプ米大統領と相次いで電話会談を行い、「菅外交」のスタートを切った。

 「日米が最初ならきれいだ。さすがに中国、韓国と先にやることはないが、欧州やオーストラリアならいいかもしれない」

 外務省幹部は菅内閣発足直後、首相にとって初となる電話首脳会談について、こう語っていた。首相の元には各国首脳から電話会談の申し入れがあり、最初の会談相手にどの国を選ぶかは菅内閣の外交姿勢を示す上でも意味がある。

 首相が初日の相手に選んだ米国は同盟国で、首相は16日の記者会見で「わが国を取り巻く環境が一層厳しくなる中、機能する日米同盟を基軸とした政策を展開する」と強調していた。

 オーストラリアも米国の同盟国であるだけでなく、安倍晋三政権で安全保障協力が大きく前進した準同盟国だ。安倍前首相は価値観を同じくする国との連携を重視して「自由で開かれたインド太平洋」を推進、首相も安倍路線の継承を掲げる。10月にはインドを加えた日米豪印4カ国の外相会議を、東京都内で開催する方向で調整している。

 外務省は当初、最初の電話会談は土日を避け、週明けの21日以降を想定していた。しかし、官邸側は可能なら土日にも日程を入れるよう指示し、20日の米豪首脳との会談が実現した。

 日本周辺では、中国がクラック米国務次官の台湾訪問に反発し、中国軍が18日に台湾海峡付近で実戦演習を開始した。南シナ海でも中国軍による挑発や演習が続き、9日にテレビ会議方式で開かれた東アジアサミット(EAS)外相会議では、米中両国の外相が非難の応酬を繰り広げた。

 首相が外交スタートを急いだ背景には、緊張が高まる国際情勢を念頭に、同盟国・友好国との連携を内外に示す意図があったとみられる。加えて、自民党総裁選で外交手腕を不安視する声もあっただけに、一日も早く行動に移し、外交を重視する姿勢を示したい思惑もにじむ。(杉本康士、原川貴郎)

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