海外情勢

新興国で好不調の格差広がる コロナ対応で優劣、経済回復力に直結

 新型コロナウイルス禍からの回復で新興経済国の好不調の格差が広がっていることが、新興国を対象にしたブルームバーグの最新調査で明らかになった。新型コロナ封じ込めの能力の違いが、経済回復力の差を生んでおり、こうした二極化傾向は今後、一段と鮮明になる可能性がある。

 アジアで最も顕著

 ブルームバーグが17の新興国・地域を対象に実施した調査によれば、新型コロナをきっかけとしたリスク回避の動きが始まった1月20日から9月上旬までの1人当たりの国内総生産(GDP)と株式パフォーマンスの間の相関率は42%だった。1人当たりGDPと通貨の相関率は31%だった。

 野村ホールディングスのマクロ調査担当グローバル責任者、ロブ・スバラマン氏(シンガポール在勤)は、新型コロナが続く限り、二極化を表す「K字型」回復の軌道の乖離(かいり)は続くと指摘。「新興国で急激に増大した債務は深刻なリセッション(景気後退)の中で返済が困難になり、ある程度の金融危機もしくは大きな債務再編の可能性を排除することはできない」と話す。

 新興国間の格差拡大が最も顕著なのはアジア地域だ。昨年の1人当たりGDPが1万ドル(約105万円)を超えた中国、韓国、台湾、マレーシアの株価は、その水準に届かなかったインドやインドネシア、フィリピン、タイなどを20%上回っている。中韓台とマレーシアには上場しているハイテク企業が多いこともあるが、当局が新型コロナ対応で国民と投資家を安心させるためにより多くの資金を投じることができたことも要因の一つだ。

 韓国は新型コロナ対策で3回の補正予算が成立。総額270兆ウォン(約24兆円)とGDPの約14%に上り、感染拡大の中で株価を支えた。対照的に、フィリピン政府は6月に下院で可決した1兆3000億ペソ(約2兆8000億円)の景気刺激策の財源を確保できないと表明。同国の株式相場はアジア地域で今年最悪となる25%超の下げとなった。

 問われる政策余地

 今後は、感染率の低さや政策余地の広さ、しっかりした医療サービスが寄与し、より豊かな国々が経済回復を主導することになりそうだ。

 豊かな新興国・地域は、有効な新型コロナワクチンを先進国に続き早めに確保する可能性が大きい。2009年の豚インフルエンザ流行時に起こったように、経済力のある国々が供給を独占し、貧しい国にワクチンが行き渡らないという事態が起きたが、今回は別の展開も予想される。

 マネックス証券の債券トレーダー、相馬勉氏(東京都在勤)は「最先端技術を入手できる新興国・地域は多くはなく、彼らは苦戦し続けるだろう。今後は、先進国・地域内、新興国・地域内で格差の拡大を見続けることになる」と指摘している。(ブルームバーグ Simon Flint、Livia Yap)

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