海外情勢

米の追加経済策、判事死去で大統領選後か 対立激化…滞る議会

 【ワシントン=塩原永久】米議会が検討中の追加経済対策について、11月の大統領選前の実現が困難になったとの見方が強まっている。与野党は対策規模や支援分野で対立するが、最高裁判事の死去に伴う後任人事で一段と対決姿勢が強まり、議会協議が滞るとみられるためだ。追加対策の失敗が米経済の回復軌道を危うくしかねない。

 週明け21日のニューヨーク株式市場は下げ幅が一時900ドルを超えた。欧州で新型コロナウイルスが再流行し、警戒感が強まったことや、米追加対策の成立機運が遠のいたとの観測が投資家心理を冷やした。

 追加対策では、与党・共和党が今月上旬にまとめた3千億ドル(約31兆円)規模の法案が、2兆ドルを超える対策を求める野党・民主党の支持を得られず否決された。学校の再開支援などに対策を絞り込みたい共和党と、現金給付をはじめ大規模な対策が必要と主張する民主党の溝が深かった。

 さらに与野党が妥協する機運をそいでいるのが、最高裁のリベラル派判事ギンズバーグ氏の死去にともなう後任人事の問題だ。

 18日の死去の報を受け、トランプ米大統領が大統領選前に指名、承認を目指す意向を表明。選挙後の選任を主張する民主党が激しく反発している。激しい与野党の対立を招いて審議の紛糾が予想され、エコノミストたちは追加対策が「選挙前に実現する可能性が小さくなった」との悲観的な予測を投資家向けに示した。

 景気回復の前途が危うくなるとして、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週、追加策が「不可欠だ」と強調したばかりだ。

 各種の失業保険の申請者は依然1千万人を超える。失業給付の上乗せ措置は7月末に失効した。さらに、9月末に航空業界向けの大型支援が期限を迎える「財政の崖」を迎える。

 航空大手は支援継続の追加策が成立しなければ1万人超を解雇する計画を公表した。追加対策が途絶えて米景気が足踏みすれば、日欧など主要国の回復シナリオにも影を落としそうだ。

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