海外情勢

韓国の医薬製造受託株が急騰 ヘルスケア投信リターン年90%

 韓国の医療・ヘルスケア分野に投資する株式投資信託の運用成績が絶好調だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で欧米の製薬会社の生産施設が混乱に見舞われる中、世界の製薬業界から治験薬や市販薬の製造を受託する同国の医薬品製造受託機関(CMO)の株価が何倍にも上昇。同分野に投資する株式投信の1年の投資収益(トータルリターン)は約90%と急増している。

 純資産総額1億6600万ドル(約173億円)規模の「未来アセット韓国ヘルスケア・セキュリティーズ・マスター・ファンド」の運用に携わるキム・ジェヒョン氏は、いずれ近いうちに株価の調整が起これば、国内のCMO銘柄を買い増す方針だと話す。キム氏は医薬品の製造受託が、半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)のようになる可能性があるとみている。米アップルなどを顧客企業に持つTSMCは、3800億ドル規模の専業ファウンドリービジネスモデルの先駆者だ。

 コロナ後も好調続く

 同氏は「新型コロナの感染拡大で欧米の多くの製薬工場が混乱に陥ったが、製薬会社はそれでも患者のために薬を製造する必要がある。これは韓国のCMO企業にとって大きなチャンスだ。新型コロナの感染動向が下火になっても、世界の巨大製薬会社はリスクマネジメントの観点から、韓国企業への発注を続けるだろう」と話す。

 パンデミックのさなかにヘルスケア銘柄の上昇率は一般に、市場全体を上回っているとはいえ、特に医薬品の製造に混乱が生じたことや新型コロナの治療薬、ワクチンをめぐる競争により、CMOの需要は高まるとみられている。未来アセット韓国ヘルスケア・ファンドの保有比率上位に名を連ねるサムスングループ傘下のバイオ医薬品受託生産大手、サムスンバイオロジクスの株価は過去1年で3倍近くに跳ね上がり、時価総額で国内トップクラス入りを果たした。また、先月まで同ファンドの保有比率上位だったSKケミカルは、新型コロナ感染症ワクチンの開発、生産に携わる子会社が米マイクロソフト創業者で世界最大規模の民間財団ビル&メリンダ・ゲイツ財団のビル・ゲイツ会長から投資を受け、親会社の株価はおよそ9倍に急上昇した。

 キム氏は最近、一部の大型医薬品株への投資リスクを減らし、業界内の他銘柄に入れ替えたと話している。一方、同氏は将来の投資先候補企業の経営陣や研究調査の信頼性を徹底的にチェックして「風説の流布」による株価の上げ下げに巻き込まれないように努めているという。今年は経験の浅い個人投資家の数が大幅に増加したことで、相場がそうしたリスクの影響を受けやすくなっている。

 豊富な流動性が利点

 同氏によると、高い評価も気がかりだが、韓国の経済成長が鈍化している中で豊富な流動性が医薬品分野を支えているとという。未来アセット韓国ヘルスケア・ファンドの投資先には、新型コロナ感染症の診断試薬を生産する分子診断専門企業シージェンや自社のバイオ技術のライセンス供与を行うバイオ医薬品会社アルテオゲンなど、過去1年で株価が11倍以上に急伸した銘柄もある。両社の株価はシージェンが簿価の20倍以上、アルテオゲンは60倍以上で推移している。

 同氏は「韓国のヘルスケア銘柄の株価が変動しやすいことは分かっているが、長い目でみれば韓国ヘルスケア業界のファンダメンタルズ(基礎的条件)は卓越していると思う」と強調している。(ブルームバーグ Heejin Kim)

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