海外情勢

道路が溶ける話題が定番に…熱波がシドニー居住難に拍車

 オーストラリア最大の都市シドニーの西側に位置する郊外は暑くなっている。夏季の気温がセ氏50度に迫るほどの暑さだ。駐車場に立つと、道路からの放射熱で気温計が80度を示すこともある。

 シドニー都市圏の人口は次の20年間で180万人増えると予想されるが、政府はその約半数をこうした郊外に居住させることで対応しようとしている。

 そのため、かつてはユーカリの木が生い茂る平原だった土地は急速に変化しつつある。不動産価格上昇でシドニー中心部を追い出される格好となった人々のための集合住宅が立ち並び、2026年には新空港も開港する予定となっている。

 しかし、高級感あるパンフレットには触れられていないことがある。地球温暖化に伴い、気温35度を上回る日が増え続けると予想される地域に住むことの難しさだ。

 気温と健康に関する専門家であるオーストラリア国立大学のエリザベス・ハンナ氏は「温暖化に関してはオーストラリアは先を行っている」と指摘。「人が座ったり料理したりしながら死んでしまうような家は作らないことについて、真剣に考える必要がある」と述べた。

 シドニーの西側の郊外ではここ数年、道路が溶ける話題がローカルニュースの定番となっており、この前の夏の場合のように異例の熱波に見舞われた際には高温で死亡率も上昇した。気温の上昇に伴い気分もいらいらして、家庭内外で暴力が増えていることも研究者から報告されている。

 シドニーがこうした土地に住宅を建設しているのは、他の選択肢が限られているからだ。東側は海に面し、南と北は国立公園に囲まれているが、西側にはスペースがあり、土地も安い。

 ただ、建物が増えれば増えるほど状況は悪化する。研究者によれば、樹木のない都市部の夏季の朝の地表温度は、植物に覆われた地域よりも13度高いという。

 前出のハンナ氏は「気候変動により、暑過ぎて住めない場所が出てくるだろう。その時期は私たちが考えているより早く訪れつつある」と語った。(ブルームバーグ Emily Cadman)

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