海外情勢

テスラが低価格EV計画、3年以内目標 完全自律走行も

 米電気自動車(EV)メーカーのテスラは、価格2万5000ドル(約263万円)のEVを約3年以内に製造する計画だ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が22日、テスラの電池技術を披露する「バッテリーデー」のイベントで明らかにした。大衆市場向け低価格EVの販売という長年の目標達成に動く。

 車載用電池を革新

 この日先立って行われた株主総会では、同CEOとロビン・デンホルム会長の再任が承認された。

 マスク氏によると、EVの価格低減は車載用電池のコスト半減にかかっており、その基本はドライ電極技術の活用や車載電池を車両の構造要素に変えることなどの技術革新だ。

 テスラは独自の電池生産と米ネバダ州のリチウム鉱山の権益所有を含む一連の「垂直統合」の改善を発表。これに伴いコスト削減を実現し、早ければ2023年にもより低価格なEVの提供が可能になるという。

 マスク氏は「これが最初から常にわれわれの夢だった。今から約3年以内に完全な自律走行性能を併せ持つ魅力的な2万5000ドルのEVを製造できる自信がある」と語った。

 ただ同氏は、長らく約束してきた3万5000ドルという「モデル3」の低価格化を実現できないまま、より安価な謎のモデルへの期待で人々の関心を引こうとしている。モデル3の最低価格は現在3万7990ドルだ。

 テスラは現在、パナソニックや韓国のLG化学、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)など、世界のわずかな企業から電池の供給を受けている。大衆向けEVを製造し、年間生産台数を2000万台に増やすには、今以上に大量の電池が必要になる。

 世界のほとんどの自動車大手は、投資コストの大きさやパナソニック、LG化学などアジアの電子機器メーカーが優位な専門知識の欠如を理由に、自前の電池製造を回避してきた。マスク氏は21日にツイッターで、独自の電池生産に着手する必要性について、外部からの購入を増やそうともさまざまな製品を支援するには自前の電池生産が必要だと投稿。独自の電池生産を増やさなければ、22年以降、電池が大幅に不足するとの見通しを記した。

 マスク氏は22日のイベントで、「今日の電池は迅速に対応できない。成功への道ははっきりしているがやるべき作業が山ほどある」と述べた。

 コストを56%削減

 電池の専門家で米カーネギーメロン大学のベンカット・ビシュワナサン准教授は、マスク氏は「さまざまな難易度のものすごい一連のイノベーション」について語ったと話す。同准教授は、3年という時間枠で電池製造の進歩は実現可能であり、達成可能である半面、電池の化学成分の開発にはもっと時間がかかると考える。

 テスラのパワートレイン、エネルギー設計を担当するシニアバイスプレジデントのアンドリュー・バグリーノ氏によると、計画する技術革新の成果が出ると、走行距離は54%伸びてコストが56%減少し、ギガファクトリーへの投資は69%下がる可能性があるという。

 ブルームバーグNEFの見積もりではテスラの電池パックの価格は19年に1キロワット時当たり128ドルだった。56%のコスト削減で、価格は同56ドルに低下する。

 マスク氏は、カリフォルニア州フリーモントにある電池セル製造のパイロットラインに加え、ベルリン郊外に建設中のEV組立工場で電池を製造することを明らかにした。

 イベント開催までの数週間、マスク氏は大きな技術的進歩を明らかにすると自ら宣伝してきただけに、3年という漸進的で長い年月をかけての進歩は大躍進を期待する向きを裏切った面もある。テスラの株価は22日の通常取引終了後の時間外取引で一時7.7%下落。通常取引終値は424.23ドルだった。(ブルームバーグ Dana Hull、Akshat Rathi)

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