海外情勢

出稼ぎ外国人に「虐待的」と批判 カタールで労働環境改善の新規則

 労働人口の大半を外国人労働者が占めるカタールは先月30日、外国人労働者の労働環境を改善する新規則を導入した。湾岸諸国では初めて全労働者を対象に最低賃金を適用するなど抜本的な労働市場改革のための新法を施行。2022年に自国開催するサッカーワールドカップ(W杯)に向けた建設ラッシュが下火になる中、外国人労働者の処遇をめぐる批判を抑え、より恒久的な雇用創出を目指す。

 熟練者らの定着促す

 外国人労働者の人口の多い湾岸諸国など中東では、雇用主が出稼ぎ労働者の身元保証人となる「カファラ制度」を採用している。同制度の下、雇用主は外国人労働者の転職や在留資格継続を制限できる。

 外国人労働者が労働力の95%、人口の約90%を占めるカタールは恐らく、湾岸協力会議(GCC)加盟国の中で海外からの出稼ぎ労働者への依存度が最も高い。同国は、特にW杯前に雇い入れた低所得の外国人労働者に対する労働制度が「虐待的」だと人権団体から厳しい批判を受けていた。

 新規則は、現在の雇用主の承認を得なくても労働者が新たな仕事に就くことを認める。また、全ての国籍、職業の労働者を対象とした月額1000カタールリヤル(約2万8900円)の最低賃金の適用は、湾岸地域では初めての取り組みとなる。さらに雇用主は労働者に宿泊場所と食事を提供するか、月額500カタールリヤルの住居費と同300カタールリヤルの食費手当を支給しなければならない。雇用主が新規制を順守するまでに6カ月間の猶予期間を設けた。

 カタールのアル・クワリ商工相は先月31日、インタビューに応じ、今回の抜本的な制度改革により、熟練労働者を中心とした外国人労働者の国内定着を促すことが期待できると話した。目標達成により、世界最大の液化天然ガス(LNG)輸出国である同国経済は根本的な変化を遂げる見通しだ。

 同相は「これは自由な労働市場創設の問題だ。何らかの理由で雇用主の元を離れたいとか、提供するサービスがもう不要になってしまったという人々がいることは望ましくないし、彼らがとっとと荷物をまとめて飛行機に飛び乗るようなことにはしたくない」とコメント。

 また、能力の劣る人々が職を追われたり、そうした人々が外国人労働者と仕事で競い合ったりするようなリスクを冒しても、優秀な人材をめぐる競争は国内市場にとって健全なことだと強調した。

 企業の人材投資期待

 その上で「企業は従業員をつなぎ留め、その才能を伸ばし、適切な報酬を提供するために大いに努力するだろう。これは長期投資の一環で、外国人であれカタール人であれ、人材への投資に当たる」と語った。

 そうした感情は湾岸諸国では珍しい。同地域の全ての国が外国人よりも自国民の雇用を奨励する政策をとっている。クウェートは外国人の半減を検討しており、湾岸諸国の大半は外国人労働者により恒久的な役割を担わせることに消極的だ。

 カタールは10年にW杯開催国に選ばれて以降、インフラ開発に2000億ドル(約21兆円)を投じてきた。W杯を控えた建設プロジェクトが終わりに近づく今、アル・クワリ氏は外国人の人口構成の差し迫った変化を想定しているといい、「われわれは実際にその段階に達しつつあり、知識ベース経済へと移行している」と話した。(ブルームバーグ Simone Foxman)

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