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コロナ禍が食料安保に一石 供給網の強靭化が急務  (1/2ページ)

【食料安保を問う】(下)

 「新型コロナウイルスの感染拡大は、食料安全保障を見直す一つの契機になった」。農林水産省の幹部はこう強調する。感染症という従来はあまり考慮されていなかったリスクが、食料安保を揺さぶっている。

 「コロナ禍」のもと、食料囲い込みのために農産物・食品の輸出を制限したのは累計で20カ国に達した。10月6日時点のまとめでは6カ国が続けている。こうした動きは、2008年に食料価格が世界的に高騰した局面でもみられた現象だ。国際機関などは輸出制限の乱用を戒めている。

 また、コロナ禍に伴う出入国制限の影響で、欧米では出稼ぎ労働者、日本では中国などアジア圏からの外国人技能実習生の確保が難しくなり、農業の生産現場は人手不足に悩まされた。

 足元ではコロナ禍以外の脅威もある。アフリカ東部やインドなどでは、大発生したサバクトビバッタの食害が深刻化。アジアで感染が拡大するアフリカ豚熱には有効なワクチンがない。

 「悪いときに悪いことがいくつも重なっていくと、『食料危機』が発生することもある」。農林中金総合研究所の平澤明彦基礎研究部長はこう警鐘を鳴らす。

 ただしコロナ禍の中でも、世界全体でならせば食料の不足感はさほどない。米農務省が9月11日に発表した穀物などの需給報告によると、20~21年度の小麦やトウモロコシ、米、大豆の世界の生産量はいずれも過去最高となる見通し。穀物の国際価格も08、09年や12年といった過去の高騰局面と比べれば水準は低い。

 野上浩太郎農水相は「現時点で(日本の)国民への食料供給に大きな問題は発生していない」と話す。

 他方、コロナ禍では国内外で買いだめの動きがみられるなど、食料事情への鋭い反応が鮮明になった。

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