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舞妓さん呼ぶと「Go Toイート」対象外 料亭は線引きに不満「目の敵にされて…」

 新型コロナウイルス感染拡大で苦境に立たされた飲食業に対する政府の支援策「Go To イート」。「接待を伴う飲食店」として除外されていた京都の料亭も直前に登録対象と認められた。「イートを機にお客さんが増えてほしい」。老舗料亭からは客足回復への期待が寄せられるものの、芸舞妓(げいまいこ)を手配しないことが容認の条件に。二人三脚で京都のお座敷文化を築いてきた「花街」を排除した登録条件に複雑な思いも交錯する。(秋山紀浩、桑村大)

 老舗料亭も打撃

 「なじみの薄い方にも足を運んでもらい、料亭の良さを実感してほしい」。享保3(1718)年に創業した老舗料亭「ちもと」(京都市)の店主、松井明太(めいた)さん(80)はキャンペーンを前向きに捉える。

 鴨川沿いにある同店は、日本画家の竹内栖鳳(せいほう)や堂本印象ら多くの文化人に愛されてきた。しかし、緊急事態宣言中は営業自粛を余儀なくされ、再開後も客は例年の3割程度まで落ち込んだ。

 それだけにイート効果に望みをかける気持ちは強い。同店では1万9千~3万8千円で夜の懐石を提供しているが、「プレミアム付き食事券を使うことで、ハードルが高いと感じていた人も来てくれるかもしれない」と期待を込める。

 開始前日に一転容認

 当初、同店を含む料亭はキャンペーン対象外だった。もともと芸舞妓を招いて飲食する料亭は、風俗営業法が適用される「接待を伴う飲食店」として除外されていたためだ。

 こうした状況に、「伝統的な飲食店が営業できるように」と京都府知事と京都市長が9月、料亭を対象に加えるよう政府に要望。所管する農林水産省は、イート開始前日の9月30日、風営法対象の飲食店であっても、営業形態が「臨時に外から呼んできた者のみに接待をさせる」店で、キャンペーン期間中は接待飲食営業を行わなければ、「対象として扱っても構わない」との考えを示した。

 京都市の担当者が確認した際も「芸舞妓を呼ばない料亭は対象となる」との回答が得られたという。

 線引きに不満

 ただ、芸舞妓が同席するお座敷をメインとしていた料亭は複雑だ。

 「お座敷の売り上げが半分以上を占めていたので、呼んではいけないとなると経営は厳しい」。京都市内の花街にある料亭の男性店主(54)はこう語り、疑問を呈する。「芸舞妓さんが目の敵にされているような印象を受けるし、線引きには納得できない」

 「ちもと」の松井さんも「京都の料亭にとって食事の席を彩る芸舞妓の存在は必須で、花街にとっても料亭は大切な場。こうした条件が設けられ、非常に心苦しい」と訴えた。

 厳しい状況も稽古に励む日々

 こうした中、芸舞妓らは現在どんな状況にあるのか。

 「昨秋は毎日のように宴会があったけれど、いまは2日に1回ぐらい。お座敷に行き、姉さんの所作を見て学んできたことも多いのに…」。京都五花街の一つ「祇園東」の舞妓、叶久(かのひさ)さん(18)は話す。

 五花街は4月、営業の自粛を申し合わせ。春秋の各舞踊公演も中止となった。6月に自粛が解除され、営業は再開されたが、かき入れ時となる年末の予約の伸びも鈍い。

 叶久さんは空き時間は、舞踊の稽古に励んだり、復習したりして過ごしているという。厳しい状態が続くが「ご年配のお客さまも多くいる。それでも、来てくださった方には精いっぱい明るくおもてなしをしたい」と前向きに捉える。

 五花街に在籍する芸舞妓は約240人。宴席の会場となるお茶屋は約120軒あるが、低調な状態が続いている。

 京都最大の花街、祇園甲部や、先斗町(ぽんとちょう)などでも、お座敷に上がれないまま日々稽古に励む芸舞妓も少なくないという。先斗町歌舞会の担当者は「元通りには程遠い。厳しい状態が続いている」と話している。

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