海外情勢

出稼ぎ外国人感染で人手不足深刻 シンガポールの建設業に暗影

 シンガポールの外国人出稼ぎ労働者の住居で新型コロナウイルス感染が相次いで確認され、建設現場での労働力不足が深刻化している。労働者の現場復帰には想定以上の時間がかかっており、復興を目指す同国経済の先行きに暗影を投げかけている。

 CIMBプライベート・バンキングのエコノミスト、ソン・スン・ウー氏によると、外国人労働者の住居施設が封鎖されていた7~9月期の建設業界の経済規模は前年同期比で59.3%減と深刻な打撃を受けた。労働者の復帰が遅れれば、政府が即効的な経済効果を狙う公共工事も進められない。

 土木インフラ工事を請け負う同国KTCグループのラジャン・クリシュナン最高経営責任者(CEO)は「労働者の復帰の遅れでプロジェクトが延期されると、当社のような企業は、現場監督など労働者以外の雇用延長や建設機械のリース代など追加の費用負担が必要になる」と嘆く。

 シンガポール建築建設庁は2020年度の建設需要予測を約100億シンガポールドル(約7750億円)下方修正し、180億~230億シンガポールドルとした。民間部門での需要減と公共部門のプロジェクト落札者の決定が翌年に延期されたためとしている。21年以降については、公営住宅や医療施設のほか、多様なインフラ建設の需要に牽引(けんいん)され、ある程度の需要が回復すると予想している。

 建設業が昨年の国内総生産(GDP)に占める割合は3.7%にすぎず、経済の回復はGDPの約3分の2を占めるサービス業、加えて製造業の動向にかかっている。

 だが、今年に入り整理解雇の件数や失業率は急激に上昇、世界金融危機を含む過去の不況時の高水準には達していないものの、エコノミストや政府は労働市場のさらなる悪化に警鐘を鳴らしている。

 オーバーシー・チャイニーズ銀行の国債調査・戦略責任者、セレナ・リン氏は「労働経済指標の悪化傾向は年末までは続かないものの、少なくとも7~9月期いっぱいは続くだろう」と指摘。シンガポールのGDPは今年度、5.5%のマイナス成長となり、建設業界は36.5%の記録的減少になると予測する。(ブルームバーグ Michelle Jamrisko、Faris Mokhtar)

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