国内

「各社の対応スピード上がる」脱炭素宣言 対応迫られる産業界

 菅義偉首相が26日の所信表明で、2050年までの温室効果ガスの排出を実質的にゼロとする“脱炭素社会実現”を宣言したことで、国内の産業界は一層の対応を迫られる。温暖化への対応は、企業にとってはコスト増の要因となるだけに、苦しい対応を強いられる業界も多い。実現の鍵となる再生可能エネルギーや蓄電、二酸化炭素(CO2)の有効活用などの技術開発や商業化の加速も求められる。

 これまでの政府目標は、50年に80%の温室効果ガスの削減。石油連盟はこれに沿った形で、昨年5月に50年に向けた業界目標を策定した。だが、政府目標がこれを大幅に引き上げたことで、杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は、「各社の対応スピードは上がる」と身構える。

 50年をターゲットにした産業界の脱炭素の取り組みは一部で始まっている。

 日本航空の赤坂祐二社長は6月の株主総会で、「高い目標を達成する世界初のエアラインになる」と述べ、50年にCO2排出量ゼロを目指す方針を示した。国際航空運送協会(IATA)の目標は50年に半減だが、それを上回る高い目標を示した。

 トヨタ自動車は、全世界の工場のCO2総排出量を50年にゼロとする目標を公表。30年には13年比で35%削減を目指す。ホンダも50年の実質ゼロ達成目標を掲げる。

 その他、鉄鋼メーカーの共英製鋼がCO2排出量削減目標の設定を検討するなど、今後、多くの企業が新たな目標を設定することになる。

 経団連の中西宏明会長は、所信表明に対し、「50年CO2排出実質ゼロという野心的な目標の英断を、高く評価する」とコメントした。脱炭素技術を含めた「グリーン成長」を日本の成長戦略にすることを近く提言するなど、政府と歩調を合わせる。

 みずほフィナンシャルグループなど3メガバンクの投融資では、いずれも新設の石炭火力発電への融資を取りやめ、中長期的に既存の融資残高を減らす方針。日本生命保険は26日、来年4月から、株式や社債、不動産など全資産で、投資判断に非財務情報の視点を取り入れるESG(環境・社会・企業統治)による評価を踏まえて投融資を判断すると発表するなど、金融サイドの姿勢も、脱炭素社会へのシフトを後押しすることになる。

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