国内

なぜトンカツやコロッケではなく…駅前に「唐揚げ専門店」がどんどん増えるカラクリ (2/3ページ)

 「2013年にセブン-イレブンが発売した『サラダチキン』も鶏肉人気にさらに火をつけました。もともと岩手県の食材メーカー・アマタケが開発した商品で、名称も同社が元祖ですが、最大手のコンビニの参入で注目度が高まったのです。いずれも使用部位は胸肉で、パサパサしている特徴を工夫して食べやすくしています」(稲田氏)

 個人の好みによるが、胸肉の唐揚げはあまり人気が出ないという。ジューシーさではモモ肉のほうが優れているからだ。

 「唐揚げの味付けも変わってきました。7~8年前は、にんにくしょうゆに加えて、ペッパー味も人気で、ジャンクフード的な要素もあった。それが4~5年前から味が上品になり家庭に入り込みやすくなりました。プレーンの味以外にバリエーションもあり、買う側が味を選ぶ楽しみも出ています」(同)

 原価率が圧倒的に低く、入店初日から調理できる

 これまで中小が主体だった「唐揚げ専門店」に、近年は大手チェーンが参入する。前述の都内の商店街で、最近目立つのも大手だ。

 最初は人気店の進出から始まった。唐揚げ文化が根づき「中津からあげ」で知られる大分県中津市に本店がある「総本家もり山」、同県・宇佐市が本店の「大分からあげ専門店 とりあん」などが東京都内に専門店を開いたのが2009年だった。

 「唐揚げ専門店における“中興の祖”のような存在が『からやま』(101店舗)です。運営母体はアークランドサービスHD(ホールディングス)で、2014年に神奈川県相模原市に開店して以来、FC(フランチャイズチェーン)店主体で拡大してきました。近年は、すかいらーくグループの『から好し』(91店舗)やワタミ系の『から揚げの天才』(57店舗)が拡大しています」(稲田氏)

 ※店舗数はいずれも2020年10月21日現在。

 大手が参入し始めたのはコロナ以前からで、売り手にとって魅力度が高いのだ。

 「まず、唐揚げに使う鶏肉は原価率が圧倒的に低い。一般の人が買うスーパーでも実感するでしょうが、大量に使う業務用はもっと違います。調理も簡単で、調理経験のないアルバイトでも、コツを覚えれば入店初日からできるほどです。専門店で持ち帰りだけなら店舗面積も小さくてすむので、出店コストも抑えられます」(稲田、小倉両氏)

 飲食店の経営指標の1つに「FLRコスト」がある。「F」はフードコスト(原材料費)、「L」はレイバーコスト(人件費)、「R」はレンタルコスト(地代家賃)で、ビジネスとしては「FLRコスト70%未満」が理想といわれる。唐揚げ専門店はやり方次第で、FLRコストを下げられる業態なのだ。

 牛肉や豚肉に比べて食べられない人が少ない

 「唐揚げ市場」は今後の拡大も予想される。

 民間の市場調査会社「富士経済」が発表したデータでは、2019年の唐揚げ市場は853億円で前年比141%の大幅な伸び。2020年(見込み)は1050億円(対前年比123.1%)とさらに伸長する見通しだ。

 急拡大し、参入プレーヤーも増えた「唐揚げ」に死角はないのか。

 「中長期的には、食材として安泰だと思います。鶏肉は安いだけでなく、おいしさやヘルシーさで好感度イメージが高まりました。唐揚げが苦手な人は少ない。日本在住の外国人も手にしやすい。牛肉や豚肉に比べて鶏肉は、宗教や信条で食べられない人がいる割合が低い食材でもあります」(小倉氏)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus