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大阪都構想の住民投票「反対」多数、大阪市存続へ

 大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票は1日、投開票され、反対多数で否決されることが確実となった。大阪市の存続が決まった。都構想は平成27年5月の前回に続いて否決された。

 推進派の大阪維新の会代表の松井一郎・大阪市長は今回の住民投票を「最後の審判」と位置付け、反対多数の場合は令和5年春の市長の任期満了をもって政界を引退する意向を示していた。結果を受けた松井氏の去就が注目される。

 新型コロナウイルス下という未曽有の事態の中行われた2度目の住民投票。市選管によると、投票率は62・35%で、前回住民投票の投票率(66・83%)を4・48ポイント下回った。当日有権者数は220万5730人だった。

 今回の住民投票では、前回反対派だった公明党が、昨年4月の大阪府知事・市長のダブル選での維新圧勝を受けて推進派に転換。自民党は府議団内で賛成の声が出るなど一時は意見集約が危ぶまれたが、最終的には反対で一本化した。政治状況的には当初、推進派が優勢とみられていたが、公明支持層が賛成に傾くペースは遅く、結果は反対が上回った。

 平成22年に結党した維新が府市の二重行政を解消する手段として都構想を看板政策に掲げてから10年。前回住民投票での否決を受け、維新代表だった橋下徹元市長は政界を引退したが、再挑戦を掲げた27年11月の知事・市長のダブル選で維新が圧勝したことで、再び議論がスタート。政治闘争の末、2度目の住民投票にこぎつけていた。

 だが、「最終決戦」とした2度目の住民投票での否決で維新は看板政策を失い、存在意義そのものを問われることになる。また今回、反対派は都構想に対する具体的な対案を掲げていない。少子高齢化がさらに進展する将来、どのようにして大阪の成長を実現するか、課題は多い。

 住民投票は24年に成立した大都市地域特別区設置法に基づいて実施。投票率にかかわらず、結果は法的拘束力を持つ。

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