海外情勢

米、感染急拡大で食品買いだめに“第2波” メーカーは準備周到も一部で品薄に

 米国で新型コロナウイルス感染者が1100万人を突破するなど感染が急拡大しているのに伴い、食品買いだめの動きが広がっている。同様の動きは3月にも起きていたが、食品各社は当時の経験を教訓に、今回は周到な準備を進めている。

 今春の失敗が教訓

 シリアル「チェリオ」などを販売する食品大手ゼネラル・ミルズは今春の買いだめ発生以来、外部委託の生産ラインを45本追加。同業のキャンベル・スープはスナック菓子「ゴールドフィッシュ・クラッカー」の生産拡大のために4000万ドル(約42億円)を投じたほか、ポテトチップス商品の生産能力も増強している。

 コナグラ・フーズは外部企業による増産と在庫積み増しに動く一方、オーガニック食品大手ストーニー・フィールド・ファームは農場からの牛乳の購入を増やしている。

 米食品各社は今春の買いだめ「第1波」での失敗を繰り返さないよう注力している。前回の買いだめの動きでは、多くの食品メーカーで乾燥パスタや缶詰スープなどの急激な需要増に生産が追い付かず、売り上げが伸び悩んだ。

 これを受け、各社は買いだめが一巡した夏に食料品の需給を見極め、戦略を立て直した。既に買いだめの第2の波の到来を示す兆候がみられる中、各社の戦略の成否はまもなく明らかになりそうだ。

 検索や電子商取引(EC)などのオンライン活動を追跡するセントリシティによると、パンや焼き菓子などの商品の需要が10月13日までの3週間で前年同期の約35倍となった。同社のマイク・ブラケット最高経営責任者(CEO)は、同商品の需要が約60倍となった第1の買いだめ時の水準を下回っているものの、今回は缶詰食品など保存食以外の食料品にも広範囲に影響が及ぶとみている。

 一部で品薄本格化

 第2の買いだめ波は全米の新型コロナによる入院患者数が2カ月ぶりの高水準を記録したタイミングと重なった。食品各社は前回よりも周到に準備していると自負しているが、一部の商品は品薄状態が続いている。

 全米で約130店舗を展開する食料品店ラリーズの商品の注文に対する供給率は平均70~75%にとどまる。同社のポール・ジャンネット販売担当副社長はコロナ感染ピーク時の40%に比べれば改善したものの、一部の加工食品は品薄感が出ていると話した。

 品不足回避に向け、ラリーズは焼き菓子やソースといった年末の休暇期間の必需品の需要が急増する前に自社ブランド商品を多く発注している。今年の年末の休暇期間の引き合いは例年に比べ前倒しされるとみており、品薄となっている一部商品に関しては通常よりも20%多く在庫を積み増すことで対応する方針だ。ジャンネット氏は「買いだめは既に始まっており、一部で品薄が生じている。こうした動きは11月26日の感謝祭以前に本格化する」とみている。

 大手スーパーのアルバートソンズも感謝祭関連の商品の在庫を増やしている。アルバートソンズのヴィヴェック・サンカランCEOは洗浄スプレーやウエットティッシュ、ホットドッグや小麦粉などの商品の入手が依然として困難になっていると指摘した。

 食品メーカーにとっては、今春の食品買いだめで枯渇した在庫を回復することが長期的な課題となる。ゼネラル・ミルズは今回の買いだめの動きは前回よりも落ち着いたものになるものの、在庫が正常化するのは来年6月以降と予想している。今もなお消費者が大量の食料を買い込んでおり、業界全体への圧力が強まっているためだ。

 コナグラのシーン・コノリーCEOは「私たちは生産した商品を全て販売している。しかし、引き合いが強ければ需給はさらに逼迫(ひっぱく)するだろう」と指摘している。(ブルームバーグ Nic Querolo、Leslie Patton)

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