国内

消えた「両立」…急転直下の「GoTo」見直し 専門家訴えで方針転換

 新型コロナウイルス対策の業界支援事業「Go To キャンペーン」の運用見直しは急転直下決まった。感染防止と経済の両立を重視する菅義偉首相にとって「Go To」は柱となる政策。政府内には方針転換の直前まで楽観論もあった。

 「やっぱり、マスクだよなあ」

 首相は18日夕、官邸で西村康稔経済再生担当相ら新型コロナ対策の関係閣僚にこうつぶやいた。関係閣僚が集まったのは6日ぶり。「第3波」を受け対応を協議したが、「Go To」の見直しは議題に上らなかった。代わりに話し合われたのは、政府が主な感染ルートとみなしている会食時のマスク着用やワクチン開発の見通しだったという。

 翌19日も首相は関係閣僚と協議したが、この時点でも方針転換の気配はなかった。コロナ対策分科会の専門家が旅行に伴う移動を感染要因とみなしていなかったからだ。政府高官は同日夜、「Go To」について「変わることはない。知事たちからやめてくれなんていう声はないでしょ」と語っていた。

 だが、その専門家の声が切迫感を帯び始める。19日夜には厚生労働省に助言する専門家組織が一部地域での「接触機会の削減・行動制限」を要求。20日夕に開かれた分科会は「Go To」見直しを求めた。ただ、首相は20日午前の参院本会議でも「北海道知事も『Go To』の継続を前提に感染防止を徹底していこうとしている」と語っていた。

 ところが、同日午後になると官邸の動きがあわただしくなる。首相は関係閣僚と2回にわたり面会。専門家の声が伝えられると運用見直しに傾いた。同日夜、政府高官は「専門家からは対策が必要だという人もいますから…」と述べた。

 21日の政府対策本部で「Go To」の運用見直しを決定した後、首相の言葉遣いも微妙に変化した。これまで感染対策と経済の両立を繰り返し強調していたが、「両立」には言及しなかった。23日の講演でも首相の口から「両立」は聞かれなかった。(児玉佳子、田中将徳)

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