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コロナ対応、経済回復、財政健全化の「3兎」実現を 財政審建議  

 財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は25日、令和3年度予算編成や今後の財政運営に向けた建議(意見書)を麻生太郎財務相に提出した。感染が再拡大した新型コロナウイルスへの万全な対応と、経済の回復、財政健全化の“3兎”を全て実現すべきだと強調。コロナ禍で予算の膨張圧力が強まる中でワイズスペンディング(賢い支出)を進めるよう訴えた。

 財政審の榊原定征会長は同日の記者会見で「感染拡大防止は喫緊の課題だが、日本が置かれた構造的問題の解決や改革の手を緩めてはならない」と主張した。

 最大の焦点はコロナ対応だ。建議では「財政支出を増やせば持続的な成長が起きるといった単純な話ではない」と指摘。業績が悪化した中小企業を支援する持続化給付金は延長せず予定通り終了するよう求めるなど、一時的な支援措置から脱却し、企業の生産性向上につながるデジタル化などに軸足を移すよう求めた。

 また、財政健全化では社会保障分野の支出削減が焦点だ。75歳以上の後期高齢者が窓口で払う医療費は原則1割から2割へ引き上げる方針だが、線引き基準となる所得水準が定まっていない。建議は「可能な限り広範囲で2割負担を導入すべきだ」と提言し、与党内で強まる対象者を限定すべきだとの圧力を牽制(けんせい)した。

 大学教授や経営者からなる財政審は例年11月ごろ予算編成の在り方を提言している。今年はコロナ禍に加え、次期衆院選が1年以内に迫り防災・減災、国土強靱(きょうじん)化に向けた公共事業の拡充など歳出圧力は強い。年内に編成する2年度第3次補正予算案、3年度予算案とも規模が膨らみそうだ。

 コロナ第3波の拡大で感染防止と経済の回復が最優先される中、財政審が訴える財政健全化を両立するのは容易ではない。

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