国内

雇用増加の中小を税優遇

 政府・与党は2021年度税制改正で、新規雇用を増やした中小企業の税負担を軽減する方向で調整していることが26日、分かった。従業員の賃金を引き上げた企業の法人税を軽減する「賃上げ税制」の適用要件の見直しで対応する。企業が従業員に支払う休業手当の一部を国が補う雇用調整助成金の特例措置の延長も合わせ、雇用環境の改善を重点的に進める方針だ。雇用環境改善で消費を促す経済の好循環を生み出し、新型コロナウイルスの影響で低迷する景気回復を急ぐ。

 今年度末に期限を迎える現行の賃上げ税制では、既に雇っている従業員(継続雇用者)の給与の支給総額を前年度より1.5%以上増やさなければ税優遇を受けられない。ただ、昨今は従業員の出入りも多く、継続雇用者の給与算出の複雑さが問題視されていた。さらに、コロナ禍による業績の急激な悪化で中小企業の賃上げ余力は特に低下しており、この適用条件を満たせない中小が増えている。

 そこで、新たな制度では既に雇っている従業員の給与を上げなくても、雇用者を増やすことで給与の支給総額が前年度に比べ1.5%以上上回れば優遇されるよう適用条件を見直す。給与総額の増加額の15%分を法人税額から控除し、給与総額を基準値以上引き上げた場合は控除額のさらなる上乗せも検討。大企業についても賃上げに限定せず雇用に重点を置いた制度に見直し、22年度末まで制度期限を延長する。

 厚生労働省によると、コロナ関連の解雇や雇い止めは、見込みを含め今月時点で7万人を突破。有効求人倍率も9カ月連続で悪化するなど雇用情勢は厳しさを増している。

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