海外情勢

中国が“水素”に関心、FCVでリード拡大も イーロン・マスク氏「ばかな売り物」

 電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこの数年、次世代エコカーの動力源でバッテリーではなく水素燃料電池を活用するとの考えに冷ややかな目を向けてきた。今年6月には「燃料電池(Fuel cells)=ばかな売り物(Fool sells)」とツイートしたほどだった。

 30年に100万台走行

 世界最大のEV市場である中国は、電動車の代替である燃料電池車(FCV)にすぐに見切りを付けるのは難しいとみている。中国当局は水素を動力とする乗用車やトラック、バスの開発を促しており、採用目標を達成した都市には報いると提案している。

 今月2日に公表された新エネルギー車に関する15カ年計画で、国務院は燃料電池のサプライチェーン(供給網)構築と水素を動力源とするトラックとバスの開発に軸足を置くことを明らかにした。習近平国家主席は9月、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を減少に転じさせると表明した。

 中国のFCV販売は昨年2700台にとどまったが、当局が策定した新エネ車発展計画によると、30年までにFCVの走行台数を100万台とすることを目指している。

 中国は改めて水素に関心を寄せており、バイデン次期米大統領がクリーンエネルギー車の開発を進めようとしても、中国が次世代車で米国にさらに先行する可能性がある。

 理論的には水素と酸素の化学反応で発電する燃料電池はCO2を排出せず、内燃機関の代替として理想的だ。ただ、水素を動力とするのは割高になりがちで、中国の供給は化石燃料が中心だ。水素の貯蔵と輸送が難しく、コストはさらにかさむ。

 太陽光や風力発電で生成する水素の供給が拡大するにつれて、こうした経済的側面は改善する可能性がある。ある公益企業は内モンゴル自治区に年間で最大50万トンの水素生産が可能な風力・太陽光発電所に30億ドル(約3120億円)超を投じており、21年に稼働する見通しだ。

 トヨタと戦略合致

 水素燃料電池エンジンの開発を手掛ける北京億華通科技(億華通)は今年8月に約14億元(約220億円)規模の新規株式公開(IPO)を実施。上場に先立つ6月には商用車用の燃料電池システムの開発に向け、他の中国企業4社とともにトヨタ自動車と提携した。

 トヨタのプロジェクトマネジャー、吉藤知里氏は中国のFCV市場について乗用車よりも水素を動力とするトラック・バスが中心だとみていると指摘。中国は商用車に集中しており、トヨタの考えと合致していると説明し、これは政府の支援を受けた非常に大きなトレンドだと述べた。(ブルームバーグ Bloomberg News)

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