海外情勢

ロシアと中国を「巨大な脅威」 NATO、10年間の課題まとめた報告書 

 【ロンドン=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)は1日、今後10年間の課題をまとめた報告書「NATO2030」を公表した。ロシアや中国を「巨大な脅威」と位置づけ、侵略行為やサイバー攻撃などに対処できる体制の構築を訴えた。

 報告書は独立した専門家グループが作成し、1日からオンラインで始まった外相会合で発表された。2日までの会合で議論された内容を踏まえ、ストルテンベルグ事務総長が21年に開催予定の首脳会議でNATOの今後の行動指針をめぐる戦略を提案する方針だ。

 報告書では、中国について「経済や軍事的な力に支えられ、グローバルな戦略を発展させている」とした上で「NATOは同盟国の安全を損なう中国の活動を予測し、対応する能力を高める必要がある」と表明。海洋進出などを進める中国の安全保障上の課題を議論する諮問機関の設置や、中国が仕掛けるサイバー攻撃や偽情報の拡散に対抗するための取り組みを継続することを求めた。

 ロシアについては、14年のウクライナ南部クリミア半島の併合をあげ、領土侵略が可能であることを証明したとし、「今後10年間はNATOの主な脅威であり続ける」と予測。ロシアの侵略行為に応じて制裁を強めることを同盟国に呼びかけた。また、NATO軽視の姿勢が目立ったトランプ米政権によって米国と欧州加盟国の間に溝が生じたことを受け、報告書は「ロシアや中国がNATOの政治的亀裂を悪用し、同盟国の安全を危険にさらす」と結束強化を強調した。

 NATOが10年の首脳会議で採択した10年間の行動指針となる「新戦略概念」ではミサイル防衛をめぐる対露協力などが盛り込まれ、中国については言及されなかった。ストルテンベルグ氏は今月1日、報告書について「(10年から)安全保障環境が根本的に変化した事実を反映している」と述べた。

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