海外情勢

中国が仕掛けるメディア「一帯一路」、アフリカで進む放送局支配 (1/2ページ)

 【エンタメよもやま話】中国が仕掛ける放送局支配

 米大統領選でジョー・バイデン前副大統領(民主党)が当選を確実にしました。これによって最も注目されるのが今後の米国の対中政策です。

 激しい対中批判を繰り返し、対中貿易戦争でも報復措置で対抗し続けてきたドナルド・トランプ大統領に対し、バイデン氏が中国にどういった姿勢で臨むのかが世界の最大の関心事です。今の中国に少しでも甘い顔を見せると、米といえども一気につけ込まれて大変なことになるのは明白です。

 なぜか。習近平国家主席率いる中国共産党は、世界の国々を“親中派”に取り込もうと画策。ここ数年、各国の主要メディアや記者を金で抱き込み、世界を中国に都合のいいニュースであふれさせるという壮大かつ恐ろしい計画を着々と進めているというのです。

 この問題が世界に知られるようになったのは2年前。2018年12月7日付の英紙ガーディアン(電子版)の記事でした。今回は、この記事の驚くべき内容を中心にご紹介したいと思います。

 まずは、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の重要拠点と認識しているアフリカでの出来事です。中国国営中央テレビ(CCTV)が2012年、ケニアにアフリカの拠点局「CCTVアフリカ」を開設してから約4年後。ナイジェリア(西アフリカ)の調査報道記者、ダヨ・アイエタン氏のもとに1本の電話がかかってきました。アイエタン氏は10年に当地で独立、非営利の報道機関を設立し、何者にもおもねらない質の高い活動を展開。16年には中国の実業家によるナイジェリアの森林の不法伐採を暴露しました。

 そんなアイエタン氏にかかってきた電話というのは、CCTVの新しいケニアのオフィスで働かないかという誘いでした。給与は少なくとも、今の2倍は出すといいます。アイエタン氏は高給に加え、今より安定した仕事内容という2つの誘惑に負けそうになりましたが、報道機関を立ち上げたばかりだったので、結局、その申し出を断りました。

 CCTVといえば、中国における主要なプロパガンダ(宣伝)機関の代表格です。そのCCTVが海外メディアへの影響力を強める戦略に踏み切るにあたり、最初のテストケースに選んだのがアフリカでした。

 きっかけは、チベット問題をめぐり、世界各地で聖火リレーへの抗議活動が勃発(ぼっぱつ)した08年の北京五輪でした。この出来事に憤慨した中国当局は、翌09年、世界のメディアに対する存在感や影響力を強める計画に66億ドル(約7000億円)をつぎ込むと発表。その最初の取り組みが「CCTVアフリカ」で、アイエタン氏のような中国にとって邪魔な記者を金で抱き込もうと奔走したのでした。

 「CCTVアフリカ」は当地の記者たちに、世界中の視聴者に、西洋の価値観にとらわれない「アフリカのニュースを報じる」ための立派な給与とチャンスを与えると約束しました。

 ケニアの主要テレビ局の一つ「KTN」から引き抜かれたケニアの記者、ベアトリス・マーシャル氏はガーディアン紙(電子版)に「われわれの視点でニュースを報じることができるのがうれしい」と話しました。

 しかし「CCTVアフリカ」の報道を研究した英ウエストミンスター大学のヴィヴィアン・マーシュ客員研究員は、マーシャル氏の主張に懐疑的です。なぜなら、14年に西アフリカで発生したエボラ出血熱に関する報道を分析したところ、記事の17%がなぜか中国に言及しているうえ、医師の派遣や医療援助の準備などに関し、中国の役割が強調されていることに気づいたからです。

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