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「地域運営組織」への支援めぐり議論 コロナ移住へ農水省検討会

 人口減少時代の新たな農村政策を考える農林水産省の有識者検討会の第7回会合が18日、東京都内で開かれ、新型コロナウイルス感染拡大により農村への移住志向が高まる中、地域づくり団体として近年、注目が集まっている「地域運営組織」への支援のあり方を議論した。

 地域運営組織は、人口減少・高齢化時代の地域づくりを住民が主体となって担う団体の総称。総務省によると、令和元年度で全国に5236あり、5年で3倍に増えた。お年寄りの見守りや外出・買い物支援など地域が抱える課題の解決を担うが、人材や活動資金の不足が課題となっている。

 この日は、人口減少率全国3位の高知県が平成24年度から進める住民主体の地域運営組織「集落活動センター」事業について、県中山間振興・交通部の前田和彦副部長が紹介。県職員64人が「地域支援企画員」として市町村に常駐し、行政と住民をつなぐことで、9年間で61カ所のセンター立ち上げを支援したという。

 前田氏は「特産品づくりと販売、観光交流、『集落コンビニ』の経営、弁当づくりと配達、農産物の集荷と直売所での販売…。一つとして同じセンターはない」と語った。課題として活動資金と人材の確保を挙げ、「地域おこし協力隊といった外部人材の活発化も考えている」とした。

 委員のうち、一般社団法人INSPIREの谷中修吾代表理事は「地域運営組織の事業所得が上がるように国がどう支援していくかだが、優良事例集を作ってもPDFファイルになっておいておかれるだけ。広げていくために最も簡単で分かりやすい方法は、よい組織を表彰し認知することだ。地域もうれしいし、ほかの地域の人々も勝手に学んでいく」と提案した。

 座長で明治大の小田切徳美教授は「地域運営組織は、ある意味で国の政策の谷間に置かれている。地域政策の総合化としての農村政策の出番も、ここにある」と指摘した。

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