国内

コロナに翻弄された都民 難しい感染防止と経済のバランス

 新型コロナウイルスに翻弄された1年だった。東京五輪・パラリンピックが延期に追い込まれ、春の緊急事態宣言で東京の繁華街から人混みがなくなった。マスク着用や入店時の手の消毒など新しい日常は浸透しているが、感染の第3波は大きく、年末の医療機関を逼迫(ひっぱく)させている。都庁の現場を取材し、感染防止と経済活動のバランスを図る新型コロナ対策の難しさを感じた。

 「この年末年始を感染拡大ストップのための特別な時期にしなければならない。『年末年始 コロナ特別警報』を発出する」。小池百合子知事は今月17日の臨時記者会見で医療機関の負担を減らし、命を守るために感染防止対策を求めた。

 その4日後にも臨時記者会見。「家族でステイホーム」を掲げ、「『コロナ自粛にはもう疲れたよ』と言っている場合ではありません」と強調した。酒類を提供する飲食店などを対象にした営業時間短縮要請、国の観光支援事業「Go To トラベル」見直しなどを経ても、沈静化の兆しがない感染状況への強い危機感が表れていた。

 感染の第1波では緊急事態宣言と、それに伴う都の広範囲な休業要請によって人の流れが大幅に抑制された。未知の存在だった新型コロナに関する知見、経験が得られていく中、感染防止対策のガイドラインも作られた。トイレットペーパーが店頭から消えるようなパニック状態もなくなった。

 感染防止と経済活動の両立を図る中で第2波、第3波の到来は避けられず、その波のピークをいかに抑えるかが大事になってくるといわれてきた。都は7月に感染状況、医療提供体制について4段階の警戒度で評価する仕組みを導入。小池氏は状況に応じて「防ごう重症化 守ろう高齢者」や、会食の注意ポイントをまとめた「5つの小(こ)」などのキーワードも使いながら注意喚起してきた。

 だが都幹部の1人は「コロナ慣れ、自粛疲れがあり、メッセージが届きにくくなってきている」と漏らす。営業時間の短縮を要請し、不要不急の外出自粛を求めているものの、「以前のように人の流れを抑えられなくなってきた」。

 こうした状況下で自治体側は新型コロナ対応の特別措置法を改正し、休業・営業時間短縮の要請に応じない場合の罰則規定や、協力金支払いでの自治体への財政支援などを盛り込むよう求めており、政府も改正の動きをみせている。

 ただ、忘れてはいけないのはコロナ禍で経済的なダメージを受けている多くの事業者の存在だ。営業時間短縮による損失に対して、協力金は不十分という声も根強い。

 事業者、そして医療現場に重い負担がのしかかる状況を改善していくためには、特措法改正だけでなく、一人一人が手を緩めずに感染防止の地道な取り組みを積み重ねられるかが鍵を握る。最新の感染状況と、そこで求められる対策をこれまで以上に情報発信していきたい。(高久清史)

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