国内

宣言拡大で3次補正の組み替えも 当面は予備費4・6兆円で対応

 新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う緊急事態宣言は13日、11都府県に広がることが決まり、財政出動の規模は拡大する。対象地域の飲食店やその取引先などへの支援策は当面、約4・6兆円が残る令和2年度のコロナ予備費で対応は可能な見通しだ。ただ、国内経済が一段と冷え込むのは避けられず、早々に大規模な追加支援策の実施が必要となれば、2年度第3次補正予算案の組み替えを迫られる可能性もある。

 7日の宣言発令決定時に対象となった首都圏4都県は、飲食店に対する営業時間短縮要請の協力金で、合計3413億円を補正予算で計上した。国は、コロナ対応の地方創生臨時交付金でその8割を補助するが、既に約2600億円を補正予算などで確保し、不足分は予備費で対応する。

 今後は対象地域の拡大で必要な財源も増大する。ただ、大和証券の浜田浩史シニア財政・クレジットアナリストは、支援策が公表済みのメニューに限られる場合、仮に宣言が全国に広がっても「年度内は予備費の取り崩しなどで何とか対応できる」と指摘する。

 飲食店への時短協力金を全国で実施した場合でも、必要な財源は宣言の期間が1カ月なら1兆円程度、2カ月なら2兆円程度。飲食店の取引先などに対し最大40万円の一時金を支給する事業も「必要額は数千億円」と見込まれるからだ。

 もっとも、麻生太郎財務相は昨年4月、国民一律10万円の現金給付を決めた際、宣言の全国拡大を受け「国民が連帯し難局を乗り切るため実施した」と説明した。今回も同規模の現金給付を実施するなら、12兆円超の追加財源が必要だ。

 その場合、野党が求める3次補正の組み替えは閣議決定のやり直しなどで1カ月程度かかるため、迅速な支援実施は難しくなる。(永田岳彦)

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