21年度予算案

20年度税収は一層下振れ

 緊急事態宣言の再発令で予算案と補正予算案の前提となる2020年度の税収は一層下振れする。企業業績の悪化や個人消費の低迷が長期化し21年度の税収にすら影響が出かねないと指摘され、昨年末に続き国債で穴埋めを余儀なくされる可能性がある。

 SMBC日興証券の試算では、20年度税収は1都3県に対する当初の宣言だけで3次補正での見込みより4000億円下振れ、54.7兆円程度になる。宣言は既に日本経済の6割を占める11都府県に拡大し追加で2000億円程度の減収を見込む。

 企業業績の悪化で法人税が低迷する上、賃金の抑制で所得税も落ち込み、外出自粛による消費減退で消費税も下振れするなど「基幹3税」がそろって減収する。

 景気低迷下で始まる21年度の税収も、56.8兆円と当初予算案見込みより6000億円程度の減収を見込む。

 財務省によると20年4~11月末の一般会計税収は28.1兆円と前年同期比2%減にとどまったが、法人税の大幅減を一昨年10月に増税した消費税が補った背景がある。20年度全体では、昨年12月の3次補正編成時に当初予算案時点(63.5兆円)と比べ8兆円超の減収を見込み、追加経済対策の経費と合わせ22兆円超の国債発行で埋め合わせた。

 宣言再発令で今度はどうふさぐのか。不足額が数千億円なら20年度の決算時に次年度への剰余金を圧縮して対応できる。宣言の期間延長で穴が広がった場合でも国債償還に備え積み立てた基金からの繰入金で補う制度があるが、財源は結局、国債だ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「最終的には、やはり国債に頼ることになる」と指摘する。(林修太郎)

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