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立民、攻勢へ「山場」の3週間 政権担当能力をアピールも不安定ぶり露呈

 立憲民主党は今国会で、菅義偉(すが・よしひで)内閣の支持率下落の要因となっている新型コロナウイルス対策の遅れに追及の照準を合わせる。山場と位置付けるのは序盤の3週間。政権批判とともに、具体策を示す提案路線を意識して臨む。次期衆院選を見据え、政権担当能力をアピールする狙いがある。

 枝野幸男代表は20日の衆院本会議で、18日の首相の施政方針演説に対する代表質問を行う。19日の党会合では施政方針演説について「多くの国民の命と暮らしへの危機感を首相は共有していない」と批判した。

 安住淳国対委員長は「3週間が非常に大きな山になる」と語る。最初の舞台となる枝野氏の代表質問では政府の観光支援事業「Go To トラベル」の一時停止や緊急事態宣言発令などが後手に回ったと指摘する。他の野党も「後手」との認識は一致している。

 続く衆参の予算委員会での令和2年度第3次補正予算案審議では、1兆円超の「Go To」実施経費を取り下げ、医療や生活支援に回すべきだと主張する。

 新型コロナ対策を強化する新型インフルエンザ等対策特別措置法などの改正案は内閣委員会で審議される。入院拒否の患者に懲役刑を含む刑事罰を科す内容は重すぎるとして反対し、与党側と修正協議に入る構えだ。その後の来年度予算案の基本的質疑まで、3週間程度が見込まれている。

 審議拒否戦術はとらない方針だ。平成21年の政権交代前に迫る衆院100人超の規模で結党。それから早々に菅内閣が「コロナ対応での自滅」(立民国対幹部)で支持率を落とし、衆院選勝利を目指す機運が生まれる中、「批判ばかりで政権は任せられない」との批判を避けたいからだ。

 昨年の臨時国会では、独自の特措法改正案を野党4党で共同提出した。枝野氏は最近、この実績を繰り返し強調する。18日には、医療従事者や介護施設職員らに1人当たり最大20万円の慰労金を再支給する法案を共同提出した。

 子供を持つ低所得世帯への給付金法案や、予算組み替え案をまとめる作業も進めている。提案を通じて「危機に対応できるのは立民だと国民に伝える」(枝野氏)狙いもある。

 ただ、枝野氏や福山哲郎幹事長ら執行部は旧民主党政権色が濃く、政権担当能力のアピールは容易ではない。報道各社の世論調査で政党支持率は1桁に低迷。召集日の18日に蓮舫代表代行が施政方針演説原稿を演説前にツイッターにフライング投稿し、批判される不安定ぶりもさっそく露呈した。(田中一世)

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