海外情勢

「フロンティア市場債」に妙味 米低金利長期化で投資家がリスク深掘り

 2021年に最もリターンが期待できる投資先として、債券投資家はガーナやセネガル、ベラルーシなど次世代の新興市場と目されるフロンティア市場を高く評価している。市場規模が小さく流動性の低い同市場がもてはやされる様子は、世界の金融市場の状況について多くを語っている。

 スプレッド大幅縮小

 昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で現在の低金利長期化が示唆されたことにより、世界の債券市場で最も高利回り、高リスクのフロンティア市場が投資先最有力候補に挙がっている。同市場の年間投資収益は5年来で最小を記録する公算が大きいにもかかわらずだ。

 債券投資家が高いリスクを選好する傾向は、マイナス利回りの債券残高が18兆ドル(約1870兆円)に上り、各国・地域の中央銀行が金融緩和政策を維持する限り、米国債金利がいかに上昇しても新興市場債の魅力が損なわれることがほぼないことを浮き彫りにしている。新興市場の中でもリスクが低めの債券と米国債の利回り格差(スプレッド)があまりにも大きく縮小したため、投資家はより高い投資収益を求めてジャンク(投機的格付け)級の領域を深堀りせざるを得なくなっている。

 NNインベストメント・パートナーズ(シンガポール)でフロンティア市場債のリードファンドマネジャーを務めるレオ・フー氏は「投資適格債市場のスプレッドがなくなるのは時間の問題だ。次に検討できる投資先は実際、フロンティア市場になる。適切な投資利回りを得るために投資できる場所はどこにもない」と話す。

 次世代新興国とみられるフロンティア市場のドル建て国債の推移を追うJPモルガンチェースのネクスト・ジェネレーション市場指数(NEXGEM指数)は、新型コロナウイルス禍以前の水準に戻っている。ベリーズやアンゴラなどを含むNEXGEM指数は、既に記録的水準にある主流の新興市場指数と比べても、20年3月以降、最高値近くで推移している。

 FOMCは昨年最後の会合で近い将来の量的緩和解除の可能性を排除することで、新興国に金利引き下げ、あるいは少なくとも低めの金利維持の猶予を与えた。米国債利回りは4年来で最速のペースで上昇している。

 13%リターン見込む

 外部環境もフロンティア市場の支援材料となっている。米大統領選でバイデン氏が勝利したことで、国際貿易のリスクが軽減し、新型コロナワクチンの展開が世界経済の回復を近づけた。そうした材料が次世代のフロンティア市場に対する投資家の信頼につながった。新興市場の平均利回り約4.4%に対し、フロンティア市場は平均約7%だ。

 NNインベストメントのフー氏の場合、21年に投資家に提供するフロンティア市場債の投資リターンは利回りと相場上昇を合わせて約13%を見込む。フロンティア市場の平均リスクスプレッド(米国債利回りとの差)は現在6%だが、フー氏によると、21年上半期だけでおよそ1%縮小する可能性があるという。(ブルームバーグ Lilian Karunungan)

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