海外情勢

中国経済の“屋台骨”あえぐ、中小メーカー・商社「売るほどカネが出ていく」 (1/2ページ)

 新型コロナウイルス禍からいち早く立ち直った中国には、ロックダウン(都市封鎖)やソーシャルディスタンス(社会的距離)で海外からの注文が殺到している。だが同国経済の屋台骨を支える約100万社の中小メーカーや商社は、人民元相場の上昇や輸送コストの急騰、人手不足に伴う人件費上昇にあえいでいる。

 「売るほどカネ出る」

 一番の難題は通貨高だ。昨年6月以降、元は対ドルで10%強上昇し、現在は1ドル=6.46元近辺で推移している。大半の輸出業者は決済をドル建てで受けるが、供給元や従業員には元建てで支払う。支払いと受け取りの時期が最長3カ月あくため、その間の元高ドル安により、ただでさえ薄い多くの輸出業者の利益は失われてしまった。

 庭園用家具やブランコ、テントを扱う商社のオーナー、クラーク・フェン氏は「輸出向けの注文が7割増えたが、売れば売るほどカネが出ていく」と嘆く。現在、一部の商品を赤字で販売しており、今年は値上げするつもりだ。「自国の経済が強くなるのはうれしいが、元高は輸出業者にとって災難だ」と訴える。

 英スタンダードチャータード銀行の調査によると、元が対ドルで前年比6.5%以上、上昇すると工業利益の伸びが鈍化する傾向にあるという。

 輸出業者が元高に対応してドル建て価格を引き上げると、製品の需要を損ないかねない。だが、利益が減少すれば新規の設備投資もしにくくなる。中国の製造業投資の動向を示す指標は、2020年に2%余り低下した。

 中国政府は今年、不動産投資の抑制を図っており、経済成長を促進するには民間設備投資の増加が不可欠だ。

 だが、新型コロナ禍からの回復の過程で中国の製造業者には多くの問題が浮上した。生産急増で一部地域では電力の供給に負担がかかり、工場の中には自前で発電機を購入せざるを得ないところも出た。世界の海運業界は今も新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の影響で混乱しており、コンテナ不足が遅延と物流コストの上昇を招いている。さらに労働力の供給も大幅に減った。中国の移民労働人口は昨年1~3月期のロックダウンを受け、500万人以上減少している。

 「複数の工場が熟練労働者を奪い合っていた」と話すフェン氏によると、アルミニウム溶接工の賃金はほぼ3倍に高騰しており、「われわれは労働者の言いなりだ」と語る。

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