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ベトナム乳製品市場、外資浸透の鍵は製品戦略

 1924年に牛乳が初めてサイゴン(現ホーチミン)で発売されて以来、ベトナムの乳業は飛躍的に成長した。ユーロモニターによると、2019年のベトナム乳製品市場は52億ドル(約5486億5200万円)超で、ここ10年は平均約12%で成長してきたと考えられる。また、乳製品は日用消費財市場全体の12%を占めている(ニールセン、20年)。20年は新型コロナウイルスの流行で多くの消費者が支出を控えたが、乳製品の販売は好調であった。

 ビーン・サーベイが実施した乳製品に関する調査(20年11月)によると、64%が「毎日牛乳を購入」、55%が「週に数回、その他の乳製品を購入」と回答しており、日常生活に欠かせないことが分かる。乳製品の購入理由は「習慣(90%)」「健康(89%)」が他の理由を大きく引き離している。300ブランドが競う

 ベトナム商工省は10年に策定した「ベトナム乳業戦略計画」で、消費拡大に応えるには生乳の生産量を10年の4.8億リットルから25年に15億リットルと約3倍に増やす必要があり、自国企業のみでこれを満たすのは難しいとした。これを受け多くの外資企業が参入し、ベトナムで展開するブランドは自国・外資合わせて300以上に及ぶ(同省、17年)。日本からは明治が関連会社を通じて参入している。

 外資企業に着目すると、1990年代参入のダッチ・レディーが3位につけているのを除き、浸透はあまり進んでいない。乳製品の認知度において明治は33%となっている一方、過去3カ月の購入者は8%にとどまる。新規参入の外資企業にとっては1回でも購入してもらうことが課題で、相当のプロモーション努力が必須となる。実際、ブランド選択理由の上位4つに「広告(78%)」「店舗での買いやすさ(76%)」が含まれ、宣伝や販売促進の競争は厳しくならざるを得ない。

 低価格品と一線を

 製品そのものも重要なはずだが、ハノイ・ミルクによると、国産牛乳の約70%が栄養価の低い調整乳である。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)によってニュージーランドなどからの輸入が増加し、価格低下圧力が強まってもいる。しかしながら、上記のブランド選択理由では「無添加(90%)」「品質(73%)」と消費者の求めるものは明確だ。低価格品と分かりやすい一線を画すことが必要で、一部大手企業はオーガニックや高栄養価を打ち出している。外資もこの点を勝ち筋とする他はなく、上位に食い込んでいけるのか成否が楽しみである。

 B&Company株式会社:日系初のベトナム市場調査専門企業。同社サイトではベトナム国内での企業調査や消費者調査の結果を公表している。b-company.jp

 「ASEAN経済通信」 https://www.asean-economy.com

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