海外情勢

中国急回復でドル覇権継続に試練 人民元上昇、準備通貨の地位視野 (1/2ページ)

 中国経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から急回復を遂げる中、半世紀にわたる国際金融市場でのドル覇権が今後どれだけ続くのかという幾度となく繰り返されてきた議論が、再び熱を帯びている。

 トランプ政策の皮肉

 ドル覇権を従来支えてきたのは「世界の成長エンジン」と「有事の避難先」という2つの役割だ。米成長率が他の国や地域を上回るか、リスク回避の避難先となる場合にドル相場が上昇することから、市場参加者は数年前、この非常に強力な2本柱を「ドル・スマイル」と名付けた。

 だが米国が感染拡大阻止と経済の立て直しに苦しんでいるのとは対照的に、中国は再び成長の勢いを取り戻しつつある。人民元が上昇する一方、ドルは2017年以来で最悪のパフォーマンスとなった。投資家は中国本土の資産に殺到し、人民元建ての貿易取引も試され、準備通貨としての地位も視野に入りつつあることが、人民元のドルへの挑戦を支えている。

 「世界経済の中心は500年間、北大西洋だったが太平洋にシフトしつつある。いずれ通貨市場がこれを反映していくだろう」とバノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は指摘する。

 ドル安を追求したトランプ前米大統領にとっては若干皮肉な結末だ。米国を犠牲にして、自国の輸出を支えるために人民元相場の上昇を抑えていると中国を批判したトランプ氏は、全面的な貿易戦争を仕掛けたが、パンデミックが流れを変えた。

 英調査機関の経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)は昨年12月、世界2位の経済大国、中国は28年にも世界をリードする成長エンジンの座を米国から奪うと予想。わずか1年前の想定より、米中逆転が5年早まった。中国が比較的うまくパンデミックに対応しているためだ。

 21年の経済成長率は米国が3.9%と見通されているのに対し、中国は8%超。中国人民銀行(中央銀行)が金融政策を引き締めつつある一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が緩和的であり続けると表明しているのも対照的だ。

 メドレー・グローバル・アドバイザーズの世界マクロ戦略担当マネジングディレクター、ベン・イーモンズ氏によれば、「ワクチン接種が進む間、米国など各国はパンデミックを抑制するため中国のサプライチェーン(供給網)に引き続き頼り」、「G10(主要10カ国)の各中銀は極めて緩和的」であり続けるという。

 確信度最高の投資先

 ブルームバーグがまとめたデータでは、昨年9月末までの1年間に投資家は1350億ドル(約14兆3100億円)を中国の債券に投資した。中国の株式も人気が高く、同期間に1550億ドルが投じられた。結局、世界各地のマイナス利回り債券の残高が記録を更新したことが、特に中国の債券の魅力を高める要因となった。中国の10年債利回りは3%を超えるが、同年限の米国債利回りは1%強にとどまる。投資家がリターン目標を設定する際の国際的な指標に組み入れられる中国債の数は増えており、人民元は短期、長期両方の支払い通貨として見直されつつある。

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