道標

米中対立がWTO運営に影響 透明性確保し機能修復を 岩田伸人氏 (1/2ページ)

 「自由貿易の番人」世界貿易機関(WTO)のトップである事務局長に、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が選出された。半年近くにわたったトップ不在が解消される。WTOは現在、通商のルール策定(立法)と紛争処理(司法)の二大機能が不全に陥っている。新事務局長は機能回復を主導する責務がある。

 立法機能については、2001年に始まった新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)がいまだに妥結していない。

 WTOは意思決定に際して全ての交渉議題を一括して合意する「一括受諾方式」と、164カ国・地域に上る加盟メンバーによる全会一致の「コンセンサス方式」を採用してきた。11年のWTO閣僚会議で一括受諾方式を断念したものの、全会一致の原則は今も維持されている。

 ドーハ・ラウンドの停滞は、コンセンサス方式の下で、先進国と途上国の貿易自由化をめぐる対立が解けないことが、大きな要因となっている。

 司法機能に関して米国はWTOが中国寄りで、与えられた権限を逸脱しているとして、最終審に当たる上級委員会の委員(定員7人)の再任や任命に反対してきた。

 WTOの紛争処理は二審制で、ともに1案件当たり3人の委員が担当する。だが上級委の委員は任期が切れても補充されず、19年12月に1人(現在はゼロ)になってしまい、その機能は止まった。この結果、通商ルールの違反を審理できず、いわば「無法状態」に陥っている。

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