真山仁の穿った眼

堀さんに、叱られる!? 人生の師、堀貞一郎が重視したホスピタリティ (1/2ページ)

真山仁
真山仁

 安全あってこその「おもてなし」

 私には、人生の師と考えている人が二人いる。

 その一人が、堀貞一郎さんだ。

 電通在籍時代の1970年、大阪で開催された万国博覧会で、人気パビリオンをプランニングし、その経験を買われて移籍したオリエンタルランドで、東京ディズニーランド(TDL)の誘致に成功した人物だ。既に鬼籍に入っているが、その創意工夫の素晴らしさと圧倒的な実行力、そして、懐の深い人間力には、一生かかっても追いつけないと思っている。

 堀さんは、TDLの開園以来、“ホスピタリティ”を重視した。

 「わが家に帰ってきた時のような安心感とぬくもりを自然に感じてもらえるサービスを提供する」と定義した堀さんに、そのために最も重要なのは、何かと問うた時、意外な答えが返ってきた。

 「安全です。パーク内にあるさまざまなアトラクションには、それを楽しんでいただくための絶対に譲れない安全基準があります。お客さまに喜んでいただけるなら、何でもやって良いと教えるのが、われわれのサービスですが、安全基準だけは、絶対に例外を認めません」

 安全があってこその「おもてなし」だというのだ。

 例えば、アトラクションによっては身長の基準がある。それに満たない場合は、体験できない。基準以下では、安全装置が完全に機能しないため、事故に遭う可能性があるからだ。

 そのアトラクションを楽しむために、遠路はるばるやってきた子供がいても、基準値に達していなければお断りする。それは現在も、揺るぎなく続いている。だからこそ、毎日大勢の来園者があっても、東京ディズニーリゾートでは、規定違反が原因の事故は起きない。

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