海外情勢

中国「技術超大国」の夢 全人代あす開幕、欧米依存低減の新5カ年計画

 5日開幕する中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で共産党指導部は、コンピューター用半導体など主要部品の欧米依存を低減する青写真を採択しつつ、燃料電池車(FCV)やバイオテクノロジーなど新技術に力を入れる新5カ年計画(2021~25年)を承認する見込みだ。

 巨額の資金を動かすこうした取り組みは中国が30年までに米国を抜いて世界一の経済大国となり、超大国に転換させる習近平総書記(国家主席)の目標も固めるきっかけとなる可能性がある半面、国家主導の積極投資により不良債権が生じる恐れもある。

 コロナ抑制が自信に

 米政界にとって、将来的に中国が最先端技術を支配し得る点は、今後数十年間で最大の地政学的脅威の一つだ。一方、習氏も米国による中国の台頭阻止を懸念しており、全人代では中国の自立強化に向けた計画が明らかになるとみられる。

 米中の対立は最先端技術の開発競争で激しくなっている。双方とも戦略的分野の自足を目指しており、繁栄には言論の自由や民主主義が不可欠と考える体制と、経済成長の実現には個人の自由よりも一党支配を重視するシステムとの間で、それぞれの政治体制の転換を促したいとのせめぎ合いがお互いを突き動かしている。

 習氏にとって、これは政治的に敵対する勢力の事実上禁止を共産党が正当化する根拠としてきた、14億人の国民生活の改善という問題にとどまらない。トランプ前米政権が華為技術(ファーウェイ)や半導体受託生産を手掛ける中芯国際集成電路製造(SMIC)など国内大手に圧力をかけて共産党統治の正当性を損ねようとした後だけに、党が経済をうまく誘導できると示したい局面でもある。

 新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国は、自国の政治システムに自信を深めている。エコノミスト予測では中国の今年の国内総生産(GDP)は8.3%増が見込まれ、米国の見通しは4.1%増だ。習氏も昨年、「コロナの流行は中国の特色ある社会主義の優位性を改めて示した」と自賛した。

 体制強化か浪費か

 だが米国は主要技術への中国のアクセス拒否や戦略物資の独自供給強化で同盟国とともに習氏の野心を阻もうとしている。

 李克強首相は5日の政府活動報告で、今後1年の経済運営に関する計画を示す。昨年に続いて公式のGDP成長率目標を見送ったとしても、消費喚起への新たな措置などを打ち出す可能性がある。さらに重要なのは、全人代が現時点で国内生産できない半導体製造装置や携帯電話の基本ソフト(OS)、航空機設計ソフトなど30余りの技術を開発する中長期計画の詳細も明らかにすると見られる点だ。

 研究開発費は注視する主要な数字の一つだ。当局はGDP比約3%の米国に匹敵または上回る目標額を発表するもようだ。

 中国はかねて25年までの6年間に人工知能(AI)や第5世代移動通信規格(5G)導入の高速鉄道駅などハイテクインフラに1兆4000億ドル(約149兆円)を投じる計画を発表している。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)のジュード・ブランシェット氏は「そうした計画が成果を挙げ、習氏が一段と中央集権的な成長モデルを設計できれば、中国は国内で直面している多くの課題を克服するだろう。ただ多くの人が考えるように国家主導モデルが非生産的なら、中国は中央政府が計画した技術革新の夢の追求に1世代分の資本を浪費したことになる」と指摘する。

 半導体製造は中国が苦戦を強いられている主な分野だ。国内大手すら世界の競合に少なくとも5年は後れを取る。新5カ年計画では半導体向け資金支援の強化が盛り込まれ、かつての原子力産業体系の構築に匹敵するような高い優先度で同分野を扱う構えだとブルームバーグは昨年9月に報じた。

 だが、これがうまくいく保証はない。国家主導の積極投資によって中国経済の安定を損なう不良債権が発生する恐れがある。昨年は半導体生産への投資が実を結ばなかった国有の紫光集団が25億ドル相当の社債でデフォルト(債務不履行)を起こし、金融市場を揺るがしたように、そのリスクの一端が既に露見している。(Bloomberg News)

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