海外情勢

米の対中政策は変わらず強硬姿勢 米通商代表部年次報告、気候変動や同盟重視

 米通商代表部(USTR)は1日公表した年次報告書で「あらゆる手段を講じて中国の不公正な慣行に対処する」と表明した。対中通商政策については前トランプ政権からの強硬姿勢を変えないとの立場を鮮明にした。一方で、その他の通商分野の課題については前政権とは対照的な取り組みを進める方針を示した。

 あらゆる手段講じ

 対中問題では、前政権から続く重要な目標の一つとして、中国に説明責任を負わせることを挙げ、通商政策であらゆる手段を講じて中国の不公正な慣行に対処するほか、新疆ウイグル自治区でのウイグル族弾圧に対する取り組みを優先課題と位置付けた。

 バイデン政権はトランプ前政権から年間約3350億ドル相当(約35兆8000億円)の中国製品への関税など多くの通商政策を引き継いだほか、対中政策の包括的な見直しを行っている。中国は20年の合意で米製品の輸入拡大を約束したが、新型コロナウイルス禍による出荷・供給網の混乱で、年間目標を達成できなかった。

 バイデン大統領からUSTR代表に指名され、議会の承認を待っているキャサリン・タイ氏は先週の上院指名承認公聴会後に書面で上院議員の質問に回答し、前政権が導入した中国からの輸入品への追加関税について「確実に適正なものにする」と述べ、直ちに関税を変更しないとの立場を示唆。「承認されれば議会と力を合わせ、この関税が中国の慣行に適切に対応するように取り組む」と述べた。

 タイ氏は公聴会で「中国が貿易合意での公約を実行する必要がある」と証言。バイデン政権が対中貿易合意を撤廃せず、継承する方針であることがこれまで最も強く示唆された。

 トランプ前政権の4年間ではしばしば前触れなくツイッターで関税賦課などが発表されたことから、議員はタイ氏がプロセスと話し合いを重視して進めていくと約束したことを歓迎している。

 タイ氏は民主、共和両党から高く評価されており、大差で指名承認される見通しだ。

 前大統領とは対照的

 一方、年次報告書は中国問題以外の課題について、気候変動や社会的影響、国際協力などを優先事項に掲げるなど、「アメリカ・ファースト」を唱え新たな2国間交渉に重点を置いたトランプ前大統領とは極めて対照的な内容となった。

 報告書によると、バイデン政権の通商戦略は持続可能な環境目標づくりや人種間の平等推進、同盟国との協力を重視する。1年前にトランプ前政権が最後の年次報告書で言及した英国や欧州連合(EU)、ケニアとの新たな貿易協定締結に向けた交渉を継続するかについては触れていない。

 報告書の内容は、世界的な関係再構築に向けたバイデン大統領の取り組みを反映している。トランプ前政権は国家安全保障を理由に関税を賦課したりパリ協定離脱を決定したりしたことで、カナダやEUなど古くからの同盟国から批判を受けていた。(ブルームバーグ Eric Martin)

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