国内

中国海警法への懸念明記へ 16日に日米安全保障協議委員会開催

 日米両政府は10日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を16日に東京で開くと発表した。両政府は、中国が2月1日に施行した海警局の武器使用権限を明確化した海警法を議題として取り上げ、共同発表する文書に同法への懸念を明記する方向で調整している。共同文書で中国を名指しして批判するのは異例で、現状変更を試みる中国を強く牽制する狙いがある。

 2プラス2には、日本側から茂木敏充外相と岸信夫防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が参加する。バイデン米政権の発足以降、外務・防衛担当の閣僚がそろって外国を訪問するのは初めてで、日米2プラス2の日本開催は平成25年以来、約8年ぶりとなる。

 バイデン政権は今年後半にも「国家安全保障戦略」を策定する予定で、今月3日にはその暫定版となる指針を公表した。指針では、中国を「安定的で開かれた国際秩序に挑戦する力を有する唯一の国」と位置付けている。日本政府関係者は「今回の2プラス2は、安保戦略の策定に向け、日米の対中観をすり合わせる場となる」と指摘する。

 これまで、日米の共同文書では、中国を念頭に置きつつも名指しは避け、「東シナ海・南シナ海における現状を変更しようとする一方的な試みに関し、深刻な懸念と強い反対を表明」などの表現にとどめてきた。

 しかし海警法に関しては、日本側が中国海警船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領海侵入なども念頭に危機感を強めており、米国も国務省のプライス報道官が「懸念」を表明。今月4日にテレビ会議で行った日米外務・防衛当局の審議官級協議でも、海警法に「深刻な懸念」を共有していた。

 防衛省幹部は、今回の共同文書に海警法への懸念を盛り込むことについて「日米のあらゆるレベルで確認することが重要だ」と強調する。

 海警法への危機感は地方でも高まっており、那覇市議会は9日に「海警法施行に対する適切な対応を政府に求める意見書」を可決し、同日政府に送った。

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