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食品加工活況、魅力的な投資分野に

 ベトナム政府が定める長期目標で、2025年までに優先的に発展を促進する産業の一つに食品加工分野がある。国内市場拡大と国際競争力強化に向け、ハイテク産業にも劣らない免税優遇措置が設けられている。

 同分野の企業数は16~18年に約3割増加して1万社近くとなり、その総売上高は300兆ドン(約1兆4100億円)を超えた。食品企業が多いのはホーチミン、ハノイ、ビンフック、ティエンザン、ロンアンの5省市で、農業資源の豊かなメコンデルタ地域と2大都市周辺に集積している。大消費地に近いということは輸出入にも便利である。

 「世界の食糧庫」へ

 ベトナムは、コメ、野菜、コーヒー、コショウ、カシューナッツ、熱帯果物、魚介類などの有力産地で、近年の農林水産物の輸出額は世界16位まで上昇し、貿易黒字を維持している。ベトナム農業農村開発省は、農林水産物の輸出額が20年の約410億ドル(約4兆4776億円)から25年には約510億ドルに達すると想定している。

 そして注目されるのは、加工拠点としての役割である。例えば、日本産の魚をベトナムに輸出し、加工してから日本や米国に再輸出するなどグローバルでのバリューチェーンが構築されている。ベトナム政府が同産業の背中を押すのは、「世界の食糧庫」としての競争力強化への期待の表れともいえる。

 自国内でも、消費力向上に伴い高付加価値の加工食品への需要が高まることが見込まれ、いずれも大きな成長市場と考えられる。

 大型のM&A相次ぐ

 ベトナムでは18年現在、食品加工会社のうち完全外資が約400社(16年から20社増)、合弁が80社(同微増)。19年1月までの同分野への直接投資は717件、金額にして累計112億ドルとなった(同省、19年)。

 近年のM&A(企業の合併・買収)事例としては▽韓国食品大手CJグループによるOng Kim(野菜・果物加工)、Cau Tre輸出品加工などの株式取得▽食品大手キド・グループが月餅などの菓子で有名なKinh Do Binh Duongの全株式を4億6000万ドルで米モンデリーズ・インターナショナルグループに譲渡▽乳製品大手ビナミルク(時価総額約95億ドル)が自社株式の20%をシンガポールのフレイザー・アンド・ニーブグループに譲渡など、大型案件が活発だ。

 今のところ、タイ、台湾、マレーシア、韓国、中国からの投資が主で、加工技術は国際水準を満たすものの決して高くはないケースが多い。そのため政府は日本、米国、オーストラリア、欧州連合(EU)など先進技術国からの投資増加を期待している。日本とは輸入規制緩和などの環境整備を進めている。

 コロナ禍の20年にもベトナム食品加工産業は強い成長を続けた。内外需いずれも有望で、魅力的な投資分野として発展していくことは間違いなさそうだ。

 B&Company株式会社:日系初のベトナム市場調査専門企業。同社サイトではベトナム国内での企業調査や消費者調査の結果を公表している。

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