海外情勢

ワクチン外交でインドが中国に勝る 巨大設備で無償提供、供給量もリード (2/2ページ)

 中国にとって無償ワクチンの提供は、南シナ海での領有権問題など最近の地政学的ないさかいが招いた中国に対する悪意の一部を弱める上で寄与する可能性がある。

 フィリピン議会は、中国の王毅国務委員兼外相がワクチン50万回分をフィリピンに寄付する方針を表明したことについて、議会調査で精査した。ワクチン戦略責任者のカリート・ガルベス氏は議員らに対し、フィリピン政府は領有権問題をめぐる中国との相違点を「脇に置く」べきだと述べ、野党議員からの反発を招いたが、その後上院で「われわれの権利において妥協することはない」と話している。

 中国が今も影響力を誇る場所の一つは、一帯一路の要所で中国からインフラ整備におよそ700億ドル(約7兆6340億円)の資金提供を受けたインドにとって最大のライバル、パキスタンだ。パキスタンはブラジル同様、国内感染者数が落ち着いて治験が完了できなかった中国のワクチン製造会社に対し、自国内でのワクチンの治験を実施する機会を与えた。

 パキスタンのスルタン保健相は「古くからの関係を当てにしたもの」だといい、「科学的な部分に手を貸し、その有効性について信頼できるデータがあることを確認した」と説明した。

 中国はアフリカや中南米といった主な投資先でも成功を収めている。中国政府は2月初旬までにジンバブエや赤道ギニアなど12カ国余りにワクチン支援を送った。

 中国とインドの戦略的利益が重複する国々でのワクチン提供をめぐる競争は、結果として援助を受ける国々にとどまらず、世界の他の国々の助けにもなりそうだ。

 米シンクタンク、外交問題評議会(ニューヨーク)のシニアフェロー(グローバルヘルス担当)、ヤンゾン・ファン氏は「中国はワクチン外交で手ごわい競争相手に直面している。ただワクチンを受け取る国々には幸運だ」と指摘している。(ブルームバーグ Iain Marlow、Archana Chaudhary)

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