海外情勢

関税3割増でも…安い化学品輸出に躍起になる韓国経済の行き詰まり (1/2ページ)

 韓国に不当廉売関税を課すことを決定

 3月11日、財務省は経済産業省との合同調査に基づき、韓国産の炭酸カリウムに対して暫定的な不当廉売関税(アンチ・ダンピング関税とも呼ばれる)を課すことが適当と結論を出した。

 韓国企業が、価格を下げて炭酸カリウムをわが国に輸出した背景には、韓国企業の生き残りをかけた低価格攻勢がある。韓国企業は国内販売だけでは経営が厳しくなるとみられ、低価格での輸出をより重視する傾向がみられる。そうした傾向は今後も続くとみられ、国内外で韓国企業が不当廉売を行っていると判定されるケースは増加する可能性がある。

 今回、問題になった炭酸カリウム以外にも、わが国と韓国の間には通商面でいくつかの問題がある。そうした問題の解決に向けてわが国政府は、主張を国際社会に向かってわが国の主張を発信することが必要だ。それによって、一つでも多くの国から支持を得ることに努めるべきだ。わが国の国際的発言力を高めるため、新型コロナウイルスワクチンの供給を目指す国際的な枠組みや、新興国へのインフラ開発支援などに積極的に関与するスタンスを示していけばよい。

 「正常価格より安い」日本の業界団体が反発

 世界貿易機関(WTO)の定義を参照すると、ダンピングとは、正常価格(国内向けの販売価格)を大きく下回る価額で産品が輸出されることをいう。その結果として、自国の企業(産業)が損害を受けると判断される場合、輸入国はダンピングを防止したり、その効果を相殺したりするために関税(不当廉売関税)をかけることができる。

 それは、WTOルールで各国に認められた権利だ。当然のことながら、不当廉売関税の適用には、慎重かつ客観的な調査と、それに基づいた判断が求められる。

 今回の韓国産炭酸カリウムへの不当廉売関税の暫定適用を決めた発端は、2020年4月にさかのぼる。当時、わが国の業界団体である“カリ電解工業会”は、韓国産の炭酸カリウムが正常価格より10~40%低い水準でわが国に輸出された事実があると報告した。また、同工業会は、韓国企業のダンピングによって国内企業がシェア低下や販売価格の引き下げを余儀なくされていると申し出、政府に不当廉売関税の適用を申請した。

 不当廉売のケースはほかにも

 財務省と経済産業省は調査が必要と判断し、供給者である韓国企業(UNID社)に質問状を送付するなどした。その結果、韓国UNID社の正常価格と輸出価格の差は平均して33.29%と算定された。わが国政府は、その差は大きいと判定している。本邦産業の収益への影響を見ると、2017年を基準とした場合、2018年の営業利益は減益、2019年には赤字に転落した。以上の内容は、財務省と経済産業省が公表した資料に記載されている。

 それに基づいて、財務省は韓国産炭酸カリウムに対して、4カ月間、暫定的な不当廉売関税率(30.8%)を賦課する。なお、韓国のUNID社に関しては、わが国への水酸化カリウムでも不当廉売を行ったとの認定がなされている。水酸化カリウムに関しては、中国企業も不当廉売を行ったと認定されている。世界的に見て韓国企業の輸出が不当廉売にあたると認定されるケースは多いと指摘する経済の専門家もいる。

 生き残りに躍起な韓国企業

 コロナショックを境に、利益が出る範囲で価格を引き下げて輸出の数量を増やし、その結果として国際市場におけるシェアを拡大させようとする韓国企業は増えているだろう。なぜなら、韓国国内では、人口の減少や雇用・所得環境の不安定化によって需要が縮小均衡に向かっているからだ。不動産価格の高騰や家計の債務残高の増加なども、内需にマイナスだ。

 水酸化カリウムの不当廉売認定のケースを振り返ると、韓国企業が低価格での輸出を重視していることが確認できる。当初、わが国政府は2016年8月から5年間にわたって韓国と中国からの輸入に不当廉売関税を賦課すると決めた。2020年7月、カリ電解工業会は政府に課税期間の延長を申請した。申請に基づき政府は調査を開始すると公表している。

 一連の業界団体と政府の取り組みが示唆することは、不当廉売関税の賦課にもかかわらず、韓国企業が低価格攻勢を維持・強化していることだ。

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