海外情勢

「法人減税競争終結を」 米財務長官、世界的な最低税率導入訴え

 イエレン米財務長官は5日の演説で、主要国の法人税率引き下げ競争を止めるための国際的に共通する最低税率(ミニマム税)の導入を提唱した。各国が企業を誘致するために税率引き下げで競い合う「世界的な最低税率への競争」をやめるよう訴えた。トランプ前政権時代の一国主義的政策からの転換を進める中、国際的なリーダーシップを取り戻し、同盟国からの信頼回復を目指す狙いもある。

 国際ルール復帰示す

 イエレン長官は、7~9日にオンライン形式で開催される国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合を前にシカゴ国際問題評議会(CCGA)の会議で演説した。

 長官はこの中で米国の「国際舞台」への復帰をアピールする一方、中国の名前を挙げ、競争環境を公平なものにするため「米国には世界市場での強力なプレゼンスが必要だ」と述べた。

 多国間による新たな取り組みとして、まず米国が主導する形で主要20カ国・地域(G20)が法人税の適切な最低税率を見いだすことが重要だとの認識を示した。

 経済協力開発機構(OECD)を軸に約140カ国は長年、最低課税の国際的な合意形成について協議してきた。バイデン政権の税制案は、OECDを中心とした国際課税ルールの協議への米国復帰を示す。

 世界で事業を展開する企業の利益に税率21%のミニマム税を適用するというバイデン政権の計画は、これまでOECDで議論されてきた多くの提案よりはるかに強力なものだ。

 ほとんどの関係者が国際的な最低課税案を支持しているとはいえ、合意には達しておらず、140カ国が自ら課した期限である今夏までの合意が可能かどうかは明らかではない。交渉には国際的なデジタル課税導入の議論も含まれる。

 米主要企業の経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは5日の声明で、「加盟企業は国際的に事業展開する米企業にとっての一段と公平な競争の場を歓迎するものの、バイデン政権が打ち出す国際ミニマム税導入案によって米国が競争上の大きな不利益を被る恐れがある」と警戒している。

 就任直後から根回し

 最低税率の提案についてイエレン長官は、1月下旬の就任直後以降、フランスやドイツ、英国との2国間協議で税交渉を取り上げ、根回しをしてきた。

 アルファベット傘下のグーグルやフェイスブックといった米巨大IT企業への課税交渉でトランプ前政権時代に掲げた主な要求を取り下げることで、欧州との通商上の緊張を高め、最低税率とデジタル課税という国際的な取り組みを阻んできた障壁を取り除いた。長官は2月のG20財務相・中央銀行総裁会議で、米国はトランプ前政権が主張していたセーフハーバーと呼ばれる米IT企業が海外での課税不適用を選択できるルール導入を撤回する意向を示している。

 長官は、トランプ前政権の4年間について「米国を自ら孤立させ、米国が築いた国際秩序から後退させた」と批判。また、「米国第一が米国単独ということであっては決してならない。世界におけるリーダーシップと関与の欠如は、米国の機関と経済を脆弱(ぜいじゃく)にさせる」と指摘した。(ブルームバーグ Saleha Mohsin、Christopher Condon)

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