海外情勢

トドなどプラごみ絡みつき サハリン沖、地元団体が保護

 ロシア極東サハリン沖オホーツク海のチュレニー島に集まるキタオットセイやトドの体に、ひもや網状のプラスチックごみが絡みつく被害が広がり、専門家らが保護に取り組み始めた。首などを締め付けるため「死のネックレス」と呼ばれ、地元団体は国内外に支援を訴えている。

 島を繁殖地とするキタオットセイは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種の一つ「危急種」、トドは1段階低い「準絶滅危惧種」に分類される。

 同島では昨年8月、ロシア科学アカデミー極東支部太平洋地理学研究所や保護団体「海洋の友」がオットセイ28頭を捕獲し、首や胴体に絡まったり食い込んだりした輪状のひもや漁網を除去し解放した。ロシア初とされる活動の様子を伝える動画が3月、インターネット上に公開された。水に浮かぶ合成繊維の漁網やロープなどのプラスチックごみで遊ぶ習性から体に絡まり取れなくなるケースが増え、島周辺で数百頭規模に。成長に伴い首が圧迫されて傷つき死に至る例もある。

 海洋の友によると、数年前に数頭の被害を確認した後、数が急増したため活動を本格化させた。ただボランティア活動で規模は小さい。

 ワレンチナ・メゼンツェワ代表は「漁船は経済性重視でごみを投棄し、生態系のことは考えない。それ以外にも国境を越えるごみは多様で規制は困難だ」と指摘。「国際的な取り組みと、適切な次世代教育だけが状況を改善できる」と訴えた。同様に海獣の被害が確認され保護している米国やカナダの専門家との連携も模索している。

 ロシア地理学協会沿海地方支部などは、ロシア政府に極東の海獣保護の必要性を訴えるためネット上で署名を募っている。大型で獰猛(どうもう)なトドは扱いが難しく、陸上の動物保護用の麻酔銃を使うと直後に海に飛び込んで溺れる危険があるため、新たな手法が必要だとも訴えている。(ウラジオストク 共同)

【用語解説】海洋プラスチックごみ

 プラスチック製品が海に流入したり投棄されたりして生じるごみ。生分解されない。使用済みペットボトルや食品容器、電気・電子機器、産業用ケーブル、建材など多様。プラスチック素材は漁業用の網やロープ、ブイにも使われ、一部は海洋ごみとなる。紫外線や波の力で劣化し砕けたマイクロプラスチックを海洋生物が誤飲したり、ひも状のごみが生物に絡まったりする被害が確認されている。ごみは北極海や深海にも広がり、対策は世界的な課題だ。(ウラジオストク 共同)

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