海外情勢

米、30年までに排出量半減 気候サミット前に数値目標

 米バイデン政権が2030年末までに温室効果ガス排出量を05年比で半減する計画を導入することが分かった。関係者が明らかにした。削減率はオバマ政権の公約の約2倍に当たり、電力や運輸業界は厳しい対応を迫られる。22、23両日に米国がオンライン形式で主催する気候変動サミットを前に具体的な数値目標を公表する。

 オバマ政権公約の倍

 関係者1人は現在検討されている具体的な削減率について「30年までに48~50%」と説明。他の関係者は「53%も検討されている」と話す。ホワイトハウスは具体的な数字に関しコメントを拒否したが、当局者の1人は「政権として、この目標に政府全体で取り組む計画だ」と説明した。オバマ政権は25年までに温室効果ガス排出量を05年比26~28%削減すると公約していた。

 バイデン政権の新たな目標は、産業革命前と比べて世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えることを目指したものだ。トランプ前政権が地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱したことを受け各国との関係修復に努める中で野心的な目標を目指している。

 温室効果ガス排出量半減を実現するには、発電所や自動車、油井、農業からの排出量を抑える幅広い行動が求められる。

 国際環境に取り組む非政府組織(NGO)、天然資源防護協議会(NRDC)の政策アナリスト、アマンダ・レビン氏によれば、現在、米国は電源の約40%を原子力と再生可能エネルギーから得ており、新たな目標達成に向け排出量を十分に抑制するには、二酸化炭素(CO2)の排出がゼロの電源を2倍の約80%にする必要がある。

 また米国は、効率性を改善してあらゆるレベルのエネルギー消費量を減らしつつ、自動車を中心に経済の広範な電化を積極的に進める必要がある。これらの取り組みは重要だが、電力部門の改革が順調に進んでいるのに比べると遅くなりそうだ。

 環境問題の専門家らは、大気から消えるまでの期間が短い半面、温室効果が高いメタンガス排出量の40%削減という具体的公約を盛り込むよう、ホワイトハウスに働きかけている。

 環境保護団体クリーンエア・タスクフォース(CATF)のサラ・スミス氏は、原油・天然ガス施設におけるメタン漏洩(ろうえい)を見つけて修正するだけで、米国は1億4000万台分のガソリン車が走行しなくなるのと同等の排出量を削減できると指摘する。

 19、20年は順調

 政府のデータによれば、米国の温室効果ガス排出量は19年に05年比14%低下、オバマ政権時代の目標達成に向かって進んでいる。20年にはさらに急減して、05年比で23.8%低下したが、これは新型コロナウイルス対策として行われた隔離で空路や陸路の移動が激減したためだ。

 ただ、温暖化対策の研究機関の国際団体「クライメート・アクション・トラッカー(CAT)」に所属するニュー・クライメート・インスティテュートの気候政策アナリスト、グスタボ・デ・ビベロ氏は、温室効果ガス排出量の半減を米国が公約しても、気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標達成に世界を向かわせるには十分ではないと指摘する。

 ドイツの研究グループは先月、米国がパリ協定の目標を達成するには、排出量を57~63%削減する必要があるとの見解を示した。デ・ビベロ氏は「50%の削減が最も高い水準だとしているなら目標として十分ではない」と話した。(ブルームバーグ Ari Natter、Jennifer A.Dlouhy)

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