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「約7割が50代以上」日産の新型ノートに高齢者が殺到する2つの理由 (2/2ページ)

 高価格帯に絞ったことで、質感の向上を実現

 こうした充実の機能や質感のアップの理由は、新型ノートがハイブリッドの「e-POWER」専用車になったことにある。

 これまでのノートは、100万円台前半からのガソリン・エンジン車と200万円以上のハイブリッドという2層の価格帯から構成されていた。しかし、ハイブリッド専用となることで、安いガソリン車はなくなった。この決断は、数を販売する上では不利となるが、1台あたりの価格は上昇する。そして価格が高まれば、それだけ開発や生産にコストがかけられることになる。

 つまり、新型ノートは、価格帯の低いガソリン車をやめて高価格帯のハイブリッド車に絞ったことで、クルマの骨格から細かい部品まで、コストをかけられるようになり、その結果として質感が向上させられたのだ。新型ノートの内容は、ダウンサイジング指向の目の肥えたユーザーを納得させた。

 また、価格帯の上昇は、2020年5月に発表された日産の再建プランとなる日産ネクストに合致する。このプランでは数を追わずに、利益を高めるという方針であったのだ。高価格帯への移行は、ブランドのイメージアップにもつながる。

 実際に、発売1カ月後の受注内容を見ると、その84.2%を占めるのが、最も価格の高いXグレードであった。アダプティブLEDヘッドライトやインテリジェント・アラウンドビューモニターといった先進技術のオプションは約7割のユーザーが選んでいる。車両価格だけでなく、オプションの販売状況を見ても、1台あたりの売上額が高まっていることが推測されるのだ。

 日産の「数少ない普通の車」となっていた

 時代背景と日産の現状、新型モデルの内容を考えれば、新型ノートのユーザーのうち7割が50代以上になったというのも、おかしな話ではない。

 日本社会の高齢化が進むにつれ、高齢ユーザーはダウンサイジング指向を強めていく。それに合わせるように、日産はラインナップを整理。ノートは、SUVでもなく、ミニバンでもない、日産の数少ない普通のクルマとなっていた。

 そうした中で、高品質&高機能&高価格の新型ノートが登場。静かでパワフルなモーター駆動式のハイブリッドと、高安全性と快適性を提供する先進運転支援システムを搭載する新型ノートは、目の肥えた高齢ユーザーの目にも、納得の内容となった。

 NISMO仕様車が投入されるのではないか

 とはいえ、日産が高齢者を獲得して終わりと考えているはずはない。なんといっても先代ノートは、日産の歴史に残る「登録車ナンバー1(2018年)」の偉業を達成したモデルなのだ。2020年2月の販売ランキングは、日産車トップとはいえ、全体の7位に留まる。再生プランの日産ネクストは“数を追わない”という方針を掲げているが、少しでも上位に行きたいのが本音のはずだ。

 そこで予想できるのが、スポーティ・バージョンとなるNISMO仕様車だ。過去のノートにも、販売のカンフル剤としてスポーティなNISMO仕様が投入されている。新型ノートに、スポーティという新たな魅力をプラスすることで、より若い世代や、ホットな走りを求める新たなユーザーを獲得することが狙いだ。

 先代のノートも、モデルライフ中期になってハイブリッドを追加して、販売を大きく伸ばした。新世代のノートも、先代と同様に長いモデルライフが予想される。ノートの進化と戦いは、まだまだ続くだろう。

 

 鈴木 ケンイチ(すずき・けんいち)

 モータージャーナリスト

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 

 (モータージャーナリスト 鈴木 ケンイチ)(PRESIDENT Online)

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